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小阪由佳「“元アイドル”はキャリアにならない」悩み続けた引退後の人生

自分ひとりでは力不足を感じていた

小阪由佳 最初は、“お姉ちゃん”のような気持ちで話を聞いてあげていた。しかし彼女たちの抱える不安や問題は、想像以上に深刻だった。助けてあげるためには、自分ひとりでは難しいとも感じていた。そして、本気で向き合うため、自分が「この人は一流だ!」と信頼できるメンタリスト講師を探し始める。 「自分の経験や人脈を活かし相談相手になることならできるのですが、もっとスキルをあげたいとも思っていました。そして、数々のメンタルコーチングの先生にお会いした結果、平本あきおさんというメンタルコーチングの先生を紹介いただきました。平本先生は、オリンピックの金メダリストやメジャーリーガーを指導した実績はもちろん、芸能人のコーチング経験もあり、信頼をおけた方だったので、志願し師事を受けさせていただくことになったんです」

コロナ禍でもがき苦しむ芸能関係者たち

小阪由佳 厚生労働省が実施した「新型コロナウイルス感染症に係るメンタルヘルスに関する調査」(令和2年9月11日~9月14日)では、コロナ禍が始まった昨年2月から調査期間までの間で、なんらかの不安を感じた人は半数にも及ぶという。また、警察庁と厚生労働省が令和3年3月16日に発表した「令和2年中における自殺の状況」によれば、2020年の自殺者数は11年ぶりに増加に転じた。   コロナ禍でイベントの中止や延期が相次ぎ、各メディアも三密回避の観点から撮影の機会を極力減らすような動きがあった。そんななかで、思うように活動ができなかったという芸能関係者は多いのである。 「アイドルをはじめ、芸能関係者でもコロナ禍で悩んでいる人はかなりいるようです。一般企業だと福利厚生でカウンセリングが受けられたりするけど、芸能界ってそういうのがほとんどないですよね。これから注目されることは、健康やメンタルだと思うからこそ、事務所の人間に限らず、その子のことを考えてあげられる人が必要だと思うんです。  誹謗中傷への向き合い方とか、マネージャーや友人にも言えない悩みだってある。海外の芸能界には芸能人にはメンタルコーチがついているのに、日本にはマネージャーしかいないのはなぜなのかなって。立場上、事務所の社長には言いにくいだろうし、わがままだと思われたら仕事がもらえなくなるかも……とよぎれば、腹を割って話すことは難しいと思うから」  気軽に不安や悩みをマネージャーに相談できるのかと言えば、人間なので、誰だって得意・不得意や相性はあるし、すぐに相談しにくいこともある。そんなときに、「業界を理解している利害関係のない人間が、客観的に現状を分析したり、心の整理をしてあげたりとワンクッションを置ける場所があれば、結果は違ってくるはず」と話す。
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前例がないことに挑戦したい
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ライター兼底辺グラドルの二足のわらじ。著書に『最底辺グラドルの胸のうち』(イースト・プレス)、『現役底辺グラドルが暴露する グラビアアイドルのぶっちゃけ話』、『現役グラドルがカラダを張って体験してきました』(ともに彩図社)などがある。趣味は飲酒、箱根駅伝、少女漫画。X(旧Twitter):@sally_y0720

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