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<マンガ&コラム>“表現の原点”と“重大発表”「小野寺ずるのド腐れ漫画帝国 in SPA!」~第五十六夜~

小学3年生の時に考案した幻の神輿

さて、そんな節目の回、『私の表現の原点』に触れたいと思います。 どんぐり神輿という物をご存知でしょうか? これは私が小学3年生の時に考案した幻の神輿です。小学校の文化祭、クラス対抗で神輿を作ることになりました。 その頃から表現に興味があった私は張り切って神輿デザインに応募をしました。その時応募した神輿が、どんぐり神輿です。神輿の壁面全てに、どんぐりがびっしりとへばりついている、神経症まっしぐらの神輿。 “純”な者に憧れる私ですが三つ子の魂100歳まで、と言われるように、当時から人を出し抜くための打算を働かせる、どこか汚い子どもでした。 「皆でどんぐり集めて貼るだけだからアホでもできるし、先生も楽だろうし、あとどんぐりタダだし」 子どもに求められる純粋さのシンボルとしてのどんぐりを悪用したただれたデザイン案は「授業中に外に出てどんぐりを拾える=遊べる」と考えた男子達からの票を集め、すんなりと一位を獲得。 つまりこのクラスの出し物はどんぐり神輿。私の考えたどんぐり神輿を、みんなで作ることになったのです。

恥ずかしいくらい、楽しかった

私はあまりの嬉しさに、休み時間から一人でどんぐりを拾うようになりました。みんなでどんぐりを拾う授業が待ちきれなかった。どんぐりはいくらあってもいい。なんなら壁面だけじゃなく釣り糸でどんぐりを吊るして豪華な神輿にしよう。星座みたいにどんぐりを繋いでもいい……頭の中でどんぐり神輿は銀河を駆けていた。 一人でたんまり集めたどんぐり、クラス全員でさらに集めたどんぐり。 「それ、いい形だけど割れてるからチェンジね」 「お帽子を無くしたどんぐりさんは吊るすのに使おうか」 「私のお道具袋にどんどん集めて!私が管理するよ!」 張り切って、仕切った。恥ずかしいくらい、楽しかった。 私の良いところは考えることや作る物は純粋ではないけれど自分を取り巻く世界に対しての感情はどこかいつまでも濁らない。制御が効かないほどに。
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机の下に「お米」が……
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'89年宮城県出身の役者、ド腐れ漫画家。舞台を中心に活躍後、'19年に「まだ結婚できない男」(関西テレビ)で山下香織役、'20年「いいね!光源氏くん」(NHK)で宇都宮亜紀役など、テレビドラマでも活躍の場を広げる。また、個人表現研究所「ZURULABO」を開設し、漫画、エッセイ、ポエムなどを発表。好きな言葉は「百発百中」。 Twiter:@zuruart


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