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ふるさと納税、意外とやりがちな失敗例。対策をお金のプロが解説

①ワンストップ特例制度の失敗例

 まず、最もよく聞くふるさと納税の失敗例は、会社員の方などが利用するワンストップ特例制度の手続きについてです。  ふるさと納税を利用する際は、原則として確定申告が必要ですが、会社員など普段確定申告をしない人はワンストップ特例制度を利用すると、確定申告を行わなくても、簡単な手続きで済むようになります。  ワンストップ特例制度は、寄付後に自治体から送られてくる、ワンストップ特例申請書(寄付金税額控除に係る申告特例申請書)に寄付者の住所や氏名などを記入して、本人確認書類とともに返送するだけで完了します。
ふるさと納税

※ワンストップ特例制度では、寄付額から自己負担の2,000円を差し引いた金額は、翌年の6月~翌々年の5月に支払う住民税から控除
※『これだけやれば大丈夫! お金の不安がなくなる資産形成1年生』より

 ただワンストップ特例制度には、手続きが無効になってしまう落とし穴が3つあるので、利用する前に必ず知っておきましょう。 ①何らかの理由で確定申告を行った際は、ワンストップ特例制度は無効 ②ワンストップ特例制度が使えるのは、1年間に5つの自治体への寄付まで ③ワンストップ特例申請書の提出期限は、翌年1月10日必着  特に、何らかの理由で確定申告を行った際は、ワンストップ特例制度は無効となる点は要注意です。  たとえば給与の年間収入金額が2,000万円を超える人や、給与以外の副業などによる所得が20万円を超える人、1年間に多くの医療費を支払った場合に利用できる医療費控除、もしくは住宅ローンを組んだ際に利用できる住宅ローン控除(1年目)などを申請する人は、会社員でも確定申告が必要となります。  この場合、すでにワンストップ特例申請書を提出済でも、確定申告を行った際はワンストップ特例制度は自動で無効となります。  そのため、確定申告することになったものの、ワンストップ特例制度の手続のみで済ませてしまい、寄付額が税金から引かれなかったケースもあるので、じゅうぶん気を付けましょう

②寄付額の失敗例

 続いては、寄付額に関する失敗例です。  ふるさと納税は年間の寄付の合計額に対して、実質負担は2,000円で済むため、多く寄付をするほどお得になりますが、寄付によって税金から控除できる上限額は、収入や家族構成などによって決まります。  もし控除上限額を超える金額を寄付すると、税金から差し引かれず、ふるさと納税における自己負担が2,000円より増えてしまうので気を付けて下さい。  また、専業主婦(夫)や扶養内で働くパート主婦の方で、そもそも所得税や住民税を納めていない場合は、ふるさと納税をしても税金の控除はなく、単なる寄付になってしまうので注意が必要です。  控除上限額の目安を知る方法として、まずは早見表の利用を考えましょう。  早見表はふるさと納税サイトで確認できて、寄付者の給与収入(年収)と家族構成により、実質負担が2,000円で収まる控除上限額の目安を確認できます。  たとえば、独身で年収が350万円の方なら、早見表での控除上限額は34,000円となるので、だいたい30,000円程度を限度に寄付するといいでしょう。  早見表はあくまで目安のため、控除上限額ギリギリまで寄付すると、実際の上限額を超えてしまう可能性もあるので、目安より少し寄付額を抑えるようにしましょう。  もう少し正確な控除上限額を知りたい人は、ふるさと納税サイトで控除上限額のシミュレーションをおすすめします。特に、iDeCoの小規模企業共済等掛金控除や医療費控除などの所得控除がある際は、所得税や住民税を減らせますが、その結果、ふるさと納税の控除上限額もいくらか減ってしまいます。  そのため、所得控除の金額などもシミュレーションに入力した上で、控除上限額を確認してみて下さい。  シミュレーションを利用する場合、会社員の方は、勤務先から年末頃に発行される源泉徴収票を手元に用意します。  源泉徴収票は、会社が1年間にいくら給料を支払ったかなどが記載された書類で、源泉徴収票に記入されている金額をシミュレーションに入力するだけで、控除上限額を計算できます。  ふるさと納税は寄付する年の1月1日から12月31日の収入で、控除上限額が計算されるため、本当は寄付する年の年末頃にもらう源泉徴収票が望ましいのですが、それだとふるさと納税の受付期限である12月31日を過ぎてしまう恐れがあるため、寄付をする前の年の源泉徴収票をもとに計算するのが一般的です。  ただし前年の源泉徴収票を用いる際、前年より今年の収入が減少した人は、控除上限額を低く見積もるようにして下さい。
ふるさと納税

※『これだけやれば大丈夫! お金の不安がなくなる資産形成1年生』より

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返礼品の失敗例
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1989年生まれ。横浜国立大学卒業後、三菱UFJ銀行に入行。同行退社後、ブログやSNSでNISAやiDeCoなど資産運用の入門知識を発信。現在はYouTube「BANK ACADEMY」の運営に注力しており、YouTubeのチャンネル登録者数は70万人を超える。「超初心者でも理解できるよう優しく伝える」をモットーに、自作のイラストを駆使した丁寧な解説が好評を得ている。著書に『これだけやれば大丈夫! お金の不安がなくなる資産形成1年生』(KADOKAWA)がある

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これだけやれば大丈夫! お金の不安がなくなる資産形成1年生

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