スポーツ

2021年シーズン、“令和の怪物”佐々木朗希が自信をつかんだ試合とは

「試合の中で修正できる」との手ごたえを感じた

マジック点灯

10月14日、マリーンズは1970年以来51年ぶりの優勝マジック9を点灯させた

 佐々木朗希の凄さは、平均で150kmを超える剛速球、キレ味鋭いスライダーにフォーク。そしてもう一つ、特筆すべきは「修正能力の高さ」がある。この時、背番号「17」は今までにない緊張感でマウンドに上がり、自分らしくない立ち上がりを露呈してしまった。  しかし、一度ベンチに戻ると冷静に自己分析を行い、見事に修正をしてみせた。2回以降は連打を浴びることもなく無失点。結果的に6回を投げて被安打5、無失点で勝ち投手となり、マリーンズは51年ぶりとなる優勝マジックを点灯させた。 「修正をした内容は企業秘密です。ただ、自分の中では大きな発見のある修正となった。それ以降はそれが分かっていたから、立ち上がりから落ち着いて投げることができました。不安定な立ち上がりの入りはなくなり、試合の中で修正できた。それは本当に自分の中で自信になるし、手ごたえを感じた。あの試合はそんな試合でした」  佐々木自身がそのように振り返るように、その後の先発登板ではさらに安定感が増していった。11月6日、本拠地ZOZOマリンスタジアムで行われたイーグルスとのクライマックスシリーズファーストステージでは開幕投手を任され、6回を1失点。勝ち投手にこそならなかったがMAX159kmを計測し、チームの勝利に貢献した。  極度の緊張が引き起こした金縛りから始まった大阪でのあの試合が、将来、佐々木朗希という“令和の怪物投手”を振り返る時、大事なキーポイントと言われることになるかもしれない。それほど自信をつかんだ一日となった。

気持ちはすでに2022年に

 クライマックスシリーズファイナルステージは優勝マジックを点灯させた大阪の地でバファローズに敗れ、マリーンズの日本シリーズ進出の夢は潰えた。残念ながら、3戦で終わったため4戦目で予定されていた背番号「17」の先発はならなかった。佐々木朗希は試合後、メディアに向けて次のようなコメントを残した。 「今年は試合でしっかりと投げることができて、まずはよかったかなと思っています。クライマックスシリーズファーストステージや51年ぶりに優勝マジックが点灯する試合など、大事な試合で投げることができたのが思い出深いですし、投げる経験ができてすごく良かったと思っています。  今年、自分の中で掲げていた目標はプロ初勝利、そして10試合以上の一軍登板でした。その目標をクリアできたことも良かったと思います。今後もしっかりと自分なりの段階を踏んで成長していけたらと考えています。  来年は開幕から1年間を通してチームに貢献できるよう頑張りたいと思います。そのためにもこのオフの期間が大事になると思いますので、しっかりと準備をしていきたいです」  気持ちはすでに2022年を向いていた。1年目は徹底的に体力作りに充て、実戦のマウンドに上がることはなかった。迎えた2年目は11試合に登板をして3勝2敗、防御率は2.27。ストレートの球速は159kmを計測した。誰もが、そのマウンドさばきに無限の未来を感じる。間違いなく閃光が走ったシーズンとなった。 文/梶原紀章
1
2
おすすめ記事
ハッシュタグ