「ライブが終わった後に、その日は打ち上げ的にメンバーの私物プレゼントという企画があったんです。入場券の整理番号で、メンバーの私物が当たるという仕組みでした。すると、M君の私物はZIPPOのライターが出品されていたんです」 　それを見て、香織さんは驚いた。 「私があげたものだったんです。もしかしたら、M君は忘れていたのかもしれないけれど……。しかも、偶然にもそのプレゼントに、私が当選してしまったんですよね。ステージまで取りに行くと、ばつが悪そうな顔でM君がライターを手渡してくれました」 　彼女から貰ったプレゼントを、私物のプレゼントに出品するのはかなり非情な感じがするが、香織さんの心情は正反対だったという。 「今なら酷い出来事だと思えるんですが、当時はライターが自分にあたったことで『やっぱり運命かも』って。すごい前向きですよね（笑）」 　若い頃は、誰しも「なんでこんな人と……」と思ってしまうような相手と付き合ってしまうものだが、クリスマスシーズンは特に判断が鈍ってしまうのかもしれない。 ＜取材・文／池守りぜね＞出版社やWeb媒体の編集者を経て、フリーライターに。趣味はプロレス観戦。ライブハウスに通い続けて四半世紀以上。家族で音楽フェスに行くのが幸せ。X（旧Twitter）：@rizeneration