更新日:2021年12月26日 10:33
仕事

虎ノ門横丁の仕掛け人、誕生秘話を語る。高級、老舗の“名店の味”を大衆価格で

東京中の名店を集め、ひとつの集合体として食文化を発信する

 しかし、さまざまなアイデアを練りながら突き詰めていくなかで行き着いたのが、東京中の名だたる名店を集結させることだった。  東京にある名店は高級過ぎたり敷居が高かったりと、なかなか足を運びづらいお店も多い。また、会員制や予約制を取っているお店もあり、行きたくても行けないというジレンマを抱える人も少なくない。  そんな名店の味を、よりカジュアルにリーズナブルな価格で食べてもらえるようにし、さらにはコンパクトな空間で気軽に入れるようにすれば場の力になるのではないか。  そう思いついたのが虎ノ門横丁だったのだ。 「食文化を広げるためには、東京の名店と一緒に場を作っていく必要がありました。そのため、食べ歩きの達人であるマッキー牧元さんとタッグを組み、東京の名だたる名店に対して虎ノ門横丁への出店誘致を行っていったのです。  普段は行きづらい名店であるがゆえ、誘致には相当の苦労も覚悟しましたが、『虎ノ門から食文化を広げる』ことや『新しい食との出会いのきっかけづくりにする』ことに共感してくれ、お声がけしたほとんどの名店が賛同してくれました」  名店が集うことにより、いわば集合体としての力を持つようになれば、他とは一線を画す横丁になると考え、構想から4年間かけて開業準備を進めてきたという。 「これまで多店舗展開してこなかった名店の味が楽しめたり、普段はコース料理のみ提供しているお店もアラカルトで注文できたりと、今まで名店へ足を運べなかった一般のお客様でも気軽に食べてもらえるようなスタイルを心がけました。こうしたコンセプトを突き詰めれば、既存のガード下にあるような横丁や恵比寿横丁などの既成概念を壊せると思ったんです」  かくして2020年6月に東京の名店26店舗が集結した虎ノ門横丁が誕生した。

インスタ映えより食の美味しさが支持されている

 開業当初から虎ノ門横丁は話題を集め、平日のみならず休日も訪れる人が多い状況となっている。滑り出しは順調と言えるだろう。
イル・フリージオ

新感覚のイタリアン&オイル寿司店「イル・フリージオ」。系列店舗は普段コース料理しか出していないが、ここではリーズナブルな価格でアラカルトが楽しめるという

ランチセット

写真はランチセットの「イタリアン寿司とパスタのランチ〝梅〟」

 虎ノ門横丁が支持されている理由として「インスタ映えよりも食の美味しさが支持されている」と塚本さんは話す。 「女性が入りづらかった老舗の名店や、高級過ぎて行けなかった名店が、カジュアルでリーズナブルな値段で食べられることに魅力を感じていただいており、平日休日問わず賑わっている印象です。また、名店にもかかわらず、いろんなお店をはしごしながら食べ歩きできるのも好評。  最近では全体的に女性のお客様が多くなっており、週によりますが木金の夜は7割くらいが女性を占める場合もあります。また、近隣で働くお客様が電車に乗って虎ノ門横丁に来てくださるなど、虎ノ門という場所の利用シーンが少しずつ広がっている手応えを感じています」
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名店の一品を持ち寄って食べられる
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1986年生まれ。立教大卒。ビジネス、旅行、イベント、カルチャーなど興味関心の湧く分野を中心に執筆活動を行う。社会のA面B面、メジャーからアンダーまで足を運び、現場で知ることを大切にしている

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