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意外と知らない「正月」の意味。お年玉の由来は餅だった

祭具である銅鏡と蛇の姿を表わした鏡餅

お正月飾り 鏡餅

写真はイメージです。以下同(Photo by Adobe Stock)

 正月の飾り付けの定番と言えば、もうひとつ、「鏡餅」が挙げられるだろう。その由来には強い霊力に対する人々の信仰が込められている。  鏡は、神事における重要な祭具のひとつである。それは日本の各地から銅鏡が発見されていることからもうかがい知れる。  また、餅には人間の生命力を強化する霊力があると考えられていた。そんな2つの特性を持つ鏡餅は、前年に収穫された新鮮な米で作られ、丸く扁平に整えられて供えられる。  このお供えが持つ霊力は、銅鏡のそれと同じと考えられていたのである。  一般的な鏡餅は大きさの違う餅を重ね、その上に橙の実を乗せる。横から見ると紡錘型で、これは蛇がとぐろを巻いた姿だという説がある。  日本でははるか昔から蛇への信仰がさかんだった。古代の人々は脱皮を繰り返し成長していく蛇を「死と再生」の象徴と捉え、畏敬の念を抱いていたのだ。  ヘビは古代語で「カカ」であり、鏡の語源である「カカメ」は「カカの目」、すなわち「蛇の目」が由来となっている。このように鏡には古代日本人の蛇神信仰と深い関わりがあり、鏡餅として現代に受け継がれている。

お年玉の由来は「餅」だった

 現代ではお年玉といえば現金だが、もともとは餅が配られていた。歳神様の魂が宿る鏡餅を家長が子どもたちに与えたのが始まりで、「御歳魂」が語源とされている。
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「おせち」の起源
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怪異妖怪愛好家・作家。1990年、北海道に生まれる。2014年、法政大学文学部卒業。日本文学専攻。現在公務員として働く傍ら、在野で怪異・妖怪の収集・研究を行う。著書に『日本現代怪異事典』『世界現代怪異事典』(笠間書院)、『日本のおかしな現代妖怪図鑑』(幻冬舎)がある。

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