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「お祭り」のルーツ。神様に祈り交信するための儀式だった

 例年であれば、全国各地で「お祭り」が開催されるシーズン。新型コロナウイルス感染拡大の影響で中止が相次いでいるが、本来は神様に感謝する“儀式”が変化したものだ。  そもそも人々にとって行事や祭りとは、神を敬い、死霊を恐れ、穢れや悪縁を祓うために行われるものが多かった。ここでは、その基本的なルーツを知ることで、いにしえから続く伝統と歴史の重みを感じてもらいたい。以降、朝里樹氏の著書『日本異界図典』(ジー・ビー)より一部を抜粋して紹介する。

神様に祈り交信するための儀式

お祭り

日本にはたくさんのお祭りがある。神様に感謝する儀式がお祭りと変化していった

「まつり」という言葉にはいくつかの漢字があてられる。たとえば「祀り」は神に祈ること、交信することや、その儀式を指す。 「政」は、まつりごととも読むように、古くは政治も「まつり」の要素のひとつであった。  いわゆる行事としての「まつり」には「祭」という字が用いられることが多い。これは「肉・手・示」という3つの字が合成された文字で、お供え(肉)を手でささげる(示)という意だ。つまり「祭」とは、異界の神や霊をもてなす儀式なのである。  日本には春夏秋冬、四季それぞれの祭りがある。それらは豊作の祈願だったり収穫の感謝だったりと、 農耕サイクルに応じて意味を異にする。それでも全体に通じるのは、災害や疫病といった、この世の工夫では避けがたいことを、異界の力によってなくしてほしいという人々の祈りであろう。そのために、我々は今も神や霊をもてなし、願うのである。 ・「ハレ」のお祭りという概念 祭りを理解するうえで重要なのが「ハレ」と「ケ」の概念。民俗学ではハレは非日常を、ケは日常を表す。祭りはハレであり、日常を隔てた非日常の空間である。

神である神輿や山鉾を揺らすことで神をもてなす

お祭り

※写真はイメージです

 多くのお祭りで、人々は神の乗り物である神輿を担ぎ、揺らしながら地域内を回る。揺れが激しいほど、神は喜ぶのだという。巡行中、神輿にはその土地や人々の災厄、穢れが集められると考えられ、巡行後は神社でのお祓いや、海や川で洗うことによって神輿を清める。階段から落として壊すという風習もあるそうだ。  車輪で動く山車(だし)も数多くのお祭りで見られる。山や巨岩は「依代(よりしろ)」という神が降臨する原始信仰が元になっていて、山車にももちろん、神が乗っている。  大きなものには舞台が設けられ、笛や太鼓、鐘のにぎやかな演奏がある。これは神輿でいうところの揺れにあたるものだろう。神を「はやす」ことで喜ばせるのだ。  歴史ある京都の祇園祭では、この依代を「山鉾(やまぼこ)」と呼ぶ。踊りや囃子を演じながら歩く行列でにぎわい、傘鉾は、人を雨から守るように、行列に災厄が集まらないよう、結界を張ったのだと考えられている。
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お祭りのルーツ
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日本異界図典
私たちが生きる世界の向こう側にある見えない世界「異界」――。いにしえの人々は、人知を越えた存在を畏れ敬い、異界という世界を創り上げた。人々が異界を通し築き上げた文化や伝統、社会を解説していく。
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