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相続放棄した北海道の山林が数千万円に? 価値がないと判断した男の後悔

もしも持ち続けていたら……

相続 しかも、さらに驚いたのは数千万円という高値で売れたという点。それを聞いた瞬間、相続放棄をしたことを後悔したのは言うまでもない。 「どれほどの広さの土地を売ったのかはわからないので一概には言えないですけど、親父が持っていた土地も野球場はいくつもすっぽり入るほどの広さ。だから、持ち続けていた大金が入ってきた可能性もあったと思うんです。そんなに簡単な話ではないとはいえ、やっぱり考えてしまいますよ」  そもそも父親が亡くなったとき、大田さんはまだ若かったが父親の借金をなんとか返せるくらいの貯金は持っていたそうだ。 「山林の固定資産税だって年1万円以下。その程度なら全然問題なかったですし、借金のことがなければ保有し続けていたと思います。二束三文の価値しかない土地だから相続破棄しても未練もなかったのにこんなことになるとは……」

相続放棄が間違っていないのはわかるけど……

 でも、気になるのはそんな土地が売れた理由。当時、北海道ではニセコ周辺ではリゾート開発ラッシュで、さらに中国資本が道内各地の土地を買い漁っていたと報じられていた時期。実際、このタイミングで土地を処分して大金を掴んだ者は少なくなかったようだ。 「中国資本に売ったら非国民扱いされそうですが、買ってくれるなら喜んで売りましたよ。それに日本の不動産業者が仲介するから売る側も購入先がどこの資本かなんてわからないと思うんです。仮に1000万円で売れたとしても住宅ローンの前倒し返済に娘の大学進学費用、海外旅行車などいくらでも使い道があったのに(笑)」  妻からは「相続放棄したのは間違ってない」と慰められたが、その一方で次のような一言も。 「借金を肩代わりする余裕はあったので、そのことを伝えると『様子を見てもよかったかも。大した価値がなかったとして土地を持っていれば選択肢も増えたのにね』って。これに関して私は一切損失を出していないし、土地を保有し続けても必ず売れる保証もないのですがやっぱり考えてしまうんです」  ただし、リスクヘッジという点で言えば、彼の判断はむしろ正しいといえる。一番の不幸は、相続放棄をした山林近くの土地が大金で売れたという事実を知ったことなのかもしれない。 <取材・文/トシタカマサ>
ビジネスや旅行、サブカルなど幅広いジャンルを扱うフリーライター。リサーチャーとしても活動しており、大好物は一般男女のスカッと話やトンデモエピソード。4年前から東京と地方の二拠点生活を満喫中。
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