トンガ噴火で食料危機の真相。お米やマグロにも影響大
トンガ噴火による津波は、日本でも漁港や養殖場などで多くの被害をもたらした。噴火直後からSNSなどでは「平成のコメ騒動の再来」を懸念する声が上がったが、果たして影響はあるのか。真相を追った!
1月15日の午後1時ごろ(日本時間)、南太平洋のトンガ諸島の海底火山が大噴火した。広島原爆の500倍ともいわれる衝撃は、約8000㎞離れた日本をはじめ、南米にまで津波となって到達した。
一方、トンガ噴火が世界的な食糧不足の引き金になる可能性が直後から指摘され始めた。まず、市場は即座に反応。週が明けた1月17日、東証のブルームバーグ穀物サブ指数に連動する穀物ETFは、一時7%も上昇。取引高は前週末比27倍となった。
投資家たちの念頭にあったのは、’91年のフィリピン・ピナトゥボ火山噴火だ。20世紀最大規模といわれたこの噴火は、地球全体の平均気温を0.5℃下げた。影響は’93年まで続き、7月の日本の平均気温が例年比2~3℃も押し下げられた結果、冷害によるコメの大凶作を引き起こし「平成のコメ騒動」の引き金になった。
「ピナトゥボ噴火では、噴出物中の二酸化硫黄約2000万tが放出されて成層圏に到達し、滞留し続けました。結果、地表に到達する太陽光の量を2.5%低減させ、寒冷化が起きたのです」
こう解説するのは、火山学者で京都大学名誉教授の鎌田浩毅氏。ただ、トンガでの噴火から数日たつと、寒冷化の懸念を払しょくするような報道が目立つようになった。二酸化硫黄の放出量が、ピナトゥボ火山の噴火の40分の1ほどだったからだ。しかし、鎌田氏はこう続ける。
「火山噴火による寒冷化は、二酸化硫黄の量だけで決まるものではない。今回のトンガでの噴火は、火山爆発指数(VEI)が7段階中の6とピナトゥボ噴火と同等で、噴煙は成層圏である高度40㎞に達しています。大きめの火山灰はすでに地表に舞い降りていますが、その量は比較的少量だったとされている。
一方で、細かいガラス質の火山灰は大量に成層圏に漂っていると考えられます。これらが日傘のような役割を果たす『パラソル効果』によって太陽光が遮られ、二酸化硫黄と同様に寒冷化を引き起こす可能性もある。ただ、その影響の大きさについては、噴火から半年~2年たたなければわからない。さらに変色水の流出は続いており、今回の噴火は終わっていない。さらに大きなカルデラ噴火が起きる可能性もある」
気温1℃低下で状況は一変!
再噴火で被害拡大の可能性も
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