更新日:2022年02月09日 18:03
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トンガ噴火で食料危機の真相。お米やマグロにも影響大

南太平洋の水質変化がマグロ漁にも影響!?

トンガ噴火 影響は穀物だけではない。噴火による水産資源への影響も明らかになりつつある。すでにトンガ噴火による津波で、宮城県では養殖中のワカメやノリ、カキなど1億3000万円以上、岩手県ではサケの川留め施設が流されたことなどにより、1億5000万円の被害があったことがわかっている。  海外でも、南米ペルーの首都リマ近郊の港で、津波の影響で石油タンカーから6000バレルもの原油が流出。付近の沿岸は40㎞にわたって黒く染まり、漁業に壊滅的な打撃を与えたという。  心配されるのは津波の爪痕だけではない。前出の鎌田氏は言う。 「噴火口周辺では、熱水と海水が混ざり合うことで発生する変色水が出続けており、300㎞離れた場所にも広がっています。これほど広範囲に変色水が広がるのは異例のこと。変色水に含まれる二酸化硫黄の影響や水温の上昇で、同海域の生態系に変化が起きてもおかしくはない」

海域のサンゴが窒息死の可能性も

 同海域は、ミナミマグロの漁場からも近いだけに、日本人にとっても対岸の火事ではない。ある日本の水産商社社員はこう話す。 「南太平洋の水質の変化がマグロやカツオの生態系にどう影響するか、注目しています。日本人の食卓にダイレクトに影響しますからね。また沿岸のチリでは日本向けのウニの養殖やエビ漁が盛んなので、再噴火による津波も心配です」  海外の研究者からも、水産資源への影響を危惧する声が上がっている。グアム大学教授で海洋生物学者のトム・シルス氏は、1月19日付のロイターの記事で「大量に堆積した火山灰に埋もれ、海域のサンゴが窒息死してしまった可能性がある」と指摘。  海洋環境の変化による漁業への影響にも触れ、地質学者マルコ・ブレナ氏も「漁場が回復するまでしばらく時間がかかる」と述べている。 コロナ禍や円安を背景とした、食品インフレが既に進行するなか、トンガ噴火による穀物と水産物のさらなる高騰が巻き起これば、庶民にとっては死活問題だ。
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世界に被害をもたらした過去の火山噴火
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