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世界興行収入で『鬼滅の刃 無限列車編』に迫った中国の抗日“プロパガンダ”映画の中身

プロパガンダ色が強い映画がヒット

『八佰(エイト・ハンドレッド)』

映画『八佰(エイト・ハンドレッド)』より

 そんなさなかに中国では新たな作品がヒットしている。昨年9月から上映されている『長津湖』である。この映画、日本では「プロパガンダ映画」としての報道が先行しているが、共同監督に『さらば、わが愛/覇王別姫』のチェン・カイコーや『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・チャイナ 天地黎明』のツイ・ハークが名を連ねる作品。  先日、配信が開始されたのでさっそく観てみたのだが、ちょっとプロパガンダ色のあるアクション映画であった。  こちらの作品は朝鮮戦争が舞台。米軍を奇襲すべく中国軍(人民志願軍)は凍ったジャガイモで飢えを満たしながら山野を越えていき、ついに米軍を包囲殲滅するという作品。  機関銃もバズーカ砲の弾も華麗に避けて、戦車も乗っ取ったり、ノリは完全に香港のアクション映画、なるほどヒットした理由はわかる。

カッコイイおっさんが活躍

 こうしたヒットしている中国の戦争映画に共通しているのは、アメリカや日本のそれにありがちな恋愛要素などいれずに、カッコイイおっさんたちが大活躍しているところもあるだろう。いわば戦争映画に求められているものがなんであるのかを掴んでいる。それが、いまの中国には確かにある。 文/昼間たかし
ルポライター。1975年岡山県に生まれる。県立金川高等学校を卒業後、上京。立正大学文学部史学科卒業。東京大学情報学環教育部修了。ルポライターとして様々な媒体に寄稿。著書に『コミックばかり読まないで』『これでいいのか岡山』
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