週刊SPA!の連載でもお馴染み、ゴルフ界でYouTubeレッスン動画に先鞭をつけ、今やチャンネル登録者数37万人を超えるゴルフティーチングプロの鬼才、三觜喜一（みつはし よしかず）。3月には「自身の集大成」と位置づけるゴルフレッスン本『誰も知らなかったゴルフの教科書』を上梓する。無償でプロを育てる一方、歯に衣着せぬ物言いで“ゴルフ界の異端児”の異名をとる男の素顔とは──。 【前編へ】⇒「石川遼が夢を諦めさせてくれた」超人気ゴルフレッスンプロが現役に区切りをつけた日 【連載へ】⇒誰も知らなかったゴルフの真実 ──ところで、三觜プロはゴルフ専門誌にはほとんど出ていません。 三觜：ゴルフ雑誌では、特集ごとにいろんなプロのいろんな理論が載っています。いわば、正反対の内容が同じ媒体に載っていることも当たり前。僕はそれが嫌なんです。以前、ある月刊誌の巻頭で僕のレッスンが載ったときに、それに続けて全く反対の内容が載っていた。すぐ編集者に抗議の電話を入れたんです。「あれでは読者が迷うだけ。読者を騙すことになりませんか？」と。そしたら「ウチは騙しながら生きてきた商売だから……」と言われた。その場で専門誌には二度と出ないと決めました。 ──いろいろな内容が載るのは、雑誌の宿命という気もしますが……。 三觜：僕の究極の夢は全てのゴルファーを上手にすることです。無理だけど、そのつもりで普段から情報発信しています。でも、僕のレッスンが載ることで読者の迷いが助長されるんだったら、選択肢は少ないほうがいいし、自分が勉強してきたことが人を騙す材料になるなら出なくていいやと思ったわけです。 ──そこで、ゴルフ雑誌ではなくSPA！の連載を引き受けた、と。 三觜：SPA！はゴルフ雑誌じゃないので、僕のレッスンしか載りませんから。SPA！での連載を始めたとき、いろんな専門誌の編集者から電話がかかってきましたよ。「雑誌には出ないって言ってたじゃないですか！」って（笑）。 ──三觜プロの目に他人のレッスンはどう映るんですか？ 三觜：正直、間違ってないとも思うんです。ただ、僕は主観的な表現や内容だけで完結しているものを認めたくない。論理的な説明がないと読者は迷います。それらと同じ誌面に載れば僕もそんなレッスンプロだと思われてしまいます。ある意味、自分のブランディング的な価値が下がると思っている部分もありますね。 ──ゴルフ界では異端児扱い？ 三觜：というか絡まないようにしています。プロゴルファーとメディアの関係って、いまだに“ノリ”や“コネ”で仕事をしているところがある。僕はゴルフというツールを使って、個人経営でビジネスをしているわけです。「プロゴルファー三觜」の権利を持つ会社の社長みたいなもんです。関係がなあなあになるほど、相手の価値を低く見てしまうのがビジネスの常。そうならないよう、ビジネス面では距離が近づきすぎないよう相当バリアを張っています。もちろん個人的には仲良くしますけどね。 それに、僕が運動力学や物理学のエビデンスに基づいたレッスンをすると、困ったことになる人がたくさんいるんですよ。これまで多くのレッスンプロが行ってきた指導が、確固たるエビデンスに基づいたものではなかったという事実が晒されてしまいますからね（笑）。