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“コロナ専門ドライバー”は見た! 救急訪問医療現場の過酷すぎる現実

「1日平均400㎞は走る」

ナイトドクター

スタッフの体力回復を促すよう、ナイトドクターの待機室には高濃度の酸素が吸える機械を設置した部屋が。「朝方帰ってきて泥のようにここで眠ることも。疲れはだいぶとれます」(望月氏)

“コロナドライバー”望月氏の一日のスケジュールはだいたいこんな感じだ。  夕方6時30分、事務局に出勤。ホワイトボードに書かれた訪問先の場所を確認し、最短の距離、時間で回ることができるようなルートを組む。そして看護助手と車に乗り込み、その日の仕事がスタートとなる。 「途中ドクターをピックアップし、あとは朝6〜7時までひたすら運転です。その日によって訪問先はまちまちですが、だいたい毎日、400㎞は走り回っています」  望月氏に2月某日の業務日誌を見せてもらった。 2月11日(金)18:30~7:45 経過観察の確認電話+新規の問い合わせの電話が続く。 本日の問い合わせは週末の関係か体感平日より多い。  との文言で始まったこの日は、 20:33 八王子市女性 コロナ陽性 経過観察で足りない薬(カロナール)の処方  と続く。この日の望月氏は、 八王子→多摩市→町田市→座間市→横浜市→川崎市→大田区→世田谷区→渋谷区  と朝方まで飛び回っている様が克明に綴られていた。

移動中の仮眠だけが唯一の休息というドクターも

 途中、眠気に襲われないように、望月氏は運転中は一切食事は取らず、トイレに行く時間も惜しいので水分も極力抑えているという。車内には連絡用の無線があり、スタッフからの新規の訪問要請が次々と入ってくる。 「常に時間に追われている感覚になります。でも、ドクターをはじめ医療従事者は体が資本。彼らなくして医療体制を維持することはできません。だから事故だけは起こすわけにはいかない。どんなに疲れていても、気を張って安全運転を心がけています」  ドクターたちの大半は昼間も病院で働いており、精神的にも肉体的にも疲れ切った様子だという。 「移動中の細切れの仮眠だけが唯一の休息というドクターも多い。だから車内ではこちらから会話をすることは控えるようにしています。疲れ切っているのに、病院にアクセスできない患者たちのために夜通し働いている彼らを見ていると、本当に頭が下がる思い。そんな彼らをできるだけ安全に支えるのが私の仕事。やりがいを感じています」
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受験シーズンを控えた家庭に漂う悲壮感
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