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「風邪と同じではない」コロナ救急医が明かすオミクロンの本当の驚異

コロナ第6波の隠された「現実」

ナイトドクター1

往診依頼の電話を受け、現場に駆けつけるスタッフと医師。一都三県を夜中飛び回る忙しさで、常時ドライバーが不足しているという

 陽性者の数が連日過去最高を記録。東京都の自宅療養者数は初めて5万人を超えるなど、オミクロン株が猛威を振るっている。まん防が適用され、夜の歓楽街からもめっきり人は減った。  しかし、世間の空気はどうも緩い。オミクロン株=風邪のようなもの、重症化しない、といった言説が蔓延し、これまでの緊迫感はだいぶ薄れたように感じられる。  そんな中、コロナ禍最大の修羅場と化しているのが、救急訪問診療の現場だ。政府の方針もあり、今、公的な医療にアクセスできない人が急増。そのしわ寄せが、民間の救急訪問診療業者を直撃している。  その過酷な現場を訪れると、コロナ第6波の隠された「現実」が垣間見えた。

第5波以上の修羅場が医療現場を襲撃

ナイトドクター2

ナイトドクターの事務局兼コールセンター。「PCR検査がしたい」「発熱がきつくてすぐに診てもらいたい」といった要望がひっきりなしに寄せられ、患者からは電話、スタッフや医師へは無線で指示を出し切り盛りしていた

 オミクロン株の都内の陽性者数が初めて1万人を超えた日の夕刻。救急訪問診療専門の民間業者「ナイトドクター事務局」(本部・東京都港区)を訪れると、そこは異様な空気に包まれていた。患者からの医師派遣依頼の電話がひっきりなしに鳴り響き、10名ほどのスタッフたちが鬼気迫る表情で対応している。どの顔も土気色で、髪は寝癖が目立つ。暗く窪んだ目が蓄積された疲れを物語る。  代表の菊地拓也氏が取材に応じてくれた。 「年が明けた瞬間から、電話が鳴りっぱなしの状態になった。9割がオミクロン株の感染を疑われる患者さんからの電話です。第5波のときも我々の現場は修羅場になりましたが、今回はそれ以上。ここまでひどいか、と痛感するほどの感染力を目の当たりにしています」  菊地氏自身、今年に入ってから事務局に泊まりっぱなしで、一度も帰宅できていない状態だという。
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「オミクロン株は重症化しない説」に違和感
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