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“コロナ専門ドライバー”は見た! 救急訪問医療現場の過酷すぎる現実

1日に4000件の電話が鳴る

ナイトドクター オミクロン株の出現により猛烈な勢いで列島を席巻したコロナ第6波だが、ここへ来てようやく新規陽性者の数は下降曲線を描きつつある。しかし医療現場の逼迫ぶりとなると、話は別。スタッフの罹患や濃厚接触者の増加により医療従事者が思うように集まらず、救急車の受け入れを一時停止するなど、従来の医療サービスを提供できなくなってしまった病院もあり、混迷は続いている。  結果、今回の第6波では病院から診察を拒否され、医療にアクセスできない人が激増した。そうした“コロナ難民”たちが藁をも掴む思いで連絡するのが訪問医療サービスだ。  東京・赤坂を拠点に一都三県へ医師や看護師を派遣する「ナイトドクター」もそのひとつ。だがその現場もまた修羅場と化しているという。 「今年に入って依頼の電話が急増し、多い日は1日に4000件もの電話が鳴ります。とはいえ、こちらで対応できるのは150~200件程度。スタッフ総出で対応していますが、すべては受けきれない。歯がゆい思いがありますが、これが現実です」(代表の菊池拓也氏)

日本で一番忙しい職場なのでは

 切迫した状況の中で奮闘を続けているのは、医師や看護師ばかりではない。医療スタッフたちを患者のもとに送り届けるドライバーの役割も極めて大きいものがある。 「テレビ番組のADや飲食店の店長など、多忙と言われる職業に就いてきましたが、2月に入ってからの忙しさはそれらを凌駕しています。事務所内は電話が鳴りっぱなし。スタッフたちは連日事務所に泊まり込みで働いていて、疲労が限界に達すると、事務所の奥に用意された”酸素カプセル室”に入って一時的に眠気を覚まし、また仕事に戻る。おそらく今、日本で一番忙しい職場なのでは」  そう語るのは、ナイトドクターでドライバーを務める望月祐介氏(仮名・29歳)。この1か月間、連日11〜12時間、ドライバーとして稼働している状態だという。
ナイトドクター

東京都を中心に、一都三県から寄せられる往診依頼の電話をもとにルートを策定するスタッフたち。何台もの車が医師を患者のもとへと届ける

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