ニュース

“コロナ専門ドライバー”は見た! 救急訪問医療現場の過酷すぎる現実

受験シーズンを控えた家庭に漂う悲壮感

ナイトドクター

訪問診療に訪れる医師は防護服をまとって問診。バックの中には処方箋薬や点滴するためのキットがぎっしりと詰まっている

 安全かつ時間通りに、ドクターを患者宅に送り届けるのがドライバーの使命だが、コロナ禍で不安に取り憑かれた患者も多く、なかなか予定通りに診療が進まない場合も多い。 「特に一人暮らしをされている方に多いのですが、発熱や悪寒など体の不調はもちろん、メンタルにもダメージを負ったケースが多いように感じています。『体調は悪いのに眠れない』と訴え、睡眠導入剤を処方するケースがかなり多いです。 また、受験シーズンを控えたご家庭は親御さんもピリピリしていて、切実な様子に胸を痛めました。試験直前に体調を崩して途方に暮れてしまう姿は、あまりに切なかったです。こうした患者さんにできるだけ安心していただくため、緊急の訪問診療の合間に、時間の許す限り、極力経過観察にも伺うようにしているため、時間のやりくりがより厳しくなってきたように感じます」

「今すぐ病院に運べ!」と怒鳴られた

 ナイトドクターの訪問診療では、診察から薬の処方、さらには点滴まで自宅で受けられるのがメリット。むろん、手術とまではいかないが、我々が普段病院で受けるサービスの大部分を病院の待合室で待たされることもなく、自宅で受けられるのが大きなメリットだろう。  だが、中には「面倒な患者」もいるという。 「コロナの疑いのある患者さんにはその場でPCR検査を行い、結果は翌日に出るのですが、『今すぐ陽性か陰性か答えを出せ』と駄々をこねたり、『今すぐちゃんとした病院に運べ』と怒鳴ってくるような人もいます。そのような場合、ドクターに代わって、私が矢面に立って対応することもあります。なるべくドクターにはストレスを与えたくないので」  こうして今も毎日、望月氏は夜の街を走り続けている。 「コロナ禍が終わるまではつづけるつもりです。辛い仕事ではありますが、誰かがやらなきゃいけない仕事でもある。何とかがんばりますよ」 取材・文/片波誠
1
2
3
おすすめ記事
ハッシュタグ