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ロシア関連の投資信託は売ることもできない。ウクライナ危機にみる“独裁政権リスク”

有事の分散投資先として有効な投資対象とは?

 たとえば、全世界の株式の値動きを示すMSCIオール・カントリー・ワールド・インデックスという指数では、米国が5割近くを占めており、日本や英仏などを含めた先進国を合わせると約88%を占める。新興国は残りの12%に過ぎず、中国は4%程度だ。こうしたデータも意識しながら、リスクの高い国に“張り過ぎない”ことに注意する必要があるという。  インフレ懸念に加え、原油や天然ガス、穀物の輸出国であるロシアに厳しい経済制裁が科されることで、さらに値上がり傾向がみられる商品(コモディティ)も、分散投資の対象として注目したいと香川氏は言う。 「インフレ下ではコモディティが値上がりするので、サテライトとして持っておきたい資産クラスです。ウクライナ情勢が収束すればいったんは値下がりするでしょうが、その場合は株価が上昇する可能性が高いので、分散投資が機能します」  商品に投資するには、コモディティ価格に連動する投資信託やETFが手軽だ。ちなみに、市場のボラティリティ(変動幅)が大きくなっているタイミングに個別株や短期投資に挑戦したい人には、軍需産業に注目するというアイデアもあるという。

FRBが利上げペースを慎重にするのは好材料

 香川氏が描く今後のメインシナリオはこうだ。ウクライナ有事の世界経済へのダメージを考慮し、FRBの利上げペースが従来予想より慎重になり、比較的短期で停戦が合意。株式市場も一進一退のもみ合いを続けながらも底値を固め、年後半にかけて回復に向かうという展開だ。 「万一、戦況が長引いて泥沼化すれば、世界中でスタグフレーションが拡大するリスクシナリオにスイッチすることになりますが、いずれのシナリオが現実になったとしても個人投資家がやるべきことは変わりません。それは、“投資をやめない”ことです」(香川氏)  目先の恐怖感に振り回されて短期売買を繰り返すと、損を重ねる可能性もある。個人投資家の“胆力”が問われる局面なのかもしれない。
フリーランス記者/ファイナンシャルプランナー。地方新聞記者、編集プロダクションを経て独立。主な執筆分野は資産運用、年金、社会保障、金融経済、ビジネスなど。新聞、雑誌、ウェブメディアなどで取材記事やインタビュー、コラム、ルポルタージュを寄稿
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