コロナ禍の資産運用術。預貯金の割合は?何に投資すべき?
世界の秩序を大きく変えたコロナショック。金融市場が発達してからのパンデミックは世界が初めて直面する事態であり、投資家が参考にできる過去の事例がないことが不確実性を高めている。「将来の相場を予想してそこに賭ける投資をしていては、こうした局面で生き残れない」と話すのは、「バブルの達人」こと楽天証券常務執行役員の土居雅紹氏だ。
「収束と感染拡大を繰り返しながらも、各国の中央銀行による金融緩和と政府の財政出動に支えられ、先進国の株価は堅調に推移するシナリオが最も可能性が高いと考えています。しかし、悲劇的なパンデミックに発展したり、逆に短期で収束しバブルにつながる展開も、十分あり得る。重要なのはどれか一つのシナリオに賭けるのではなく、どれが現実になっても致命傷を負わないよう備えることです」
金融危機が起こった際に資産を守るには現金が最強ではあるが、それだけでは最悪の事態が来なかった場合に何の利益も得られないうえ、インフレに負けてしまうことも考えられる。そこで、全方位に対応できる投資法として、土居氏は資産を3つの対象に分けて保有することを勧める。その3つの資産のひとつが、「金(GOLD)」だ。
「現在、日米欧が大規模な金融緩和を発動しており、この状態が続けば主要な通貨の価値がそろって下落してしまうことになります。さらに、再燃の気配が濃厚な米中対立が今後激化することがあれば、中国やロシアを中心にドル以外で外貨準備のニーズが高まり、その需要が金に向かうことになる」
「有事の金」という相場格言にある通り、金価格は米中の摩擦が顕在化した18年後半から急上昇し、コロナ禍でさらに値を上げて、史上最高値を更新している。
しかも、ITバブル前の1998年の価格を基準として、金価格、NYダウ、日経平均、ナスダック総合の値動きを比較したところ、金価格はNYダウと日経平均をはるかに上回るパフォーマンスを出し続けていることがわかった。マイクロソフトやアップル、アマゾンなど今をときめくプラットフォーマー企業で構成されるナスダック総合指数だけが、かろうじて金を上回っているに過ぎない。要するに、この20年の間、株を売ったり買ったりしているよりも、金だけ買って寝ている方が儲かったことになる。
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フリーランス記者/ファイナンシャルプランナー。地方新聞記者、編集プロダクションを経て独立。主な執筆分野は資産運用、年金、社会保障、金融経済、ビジネスなど。新聞、雑誌、ウェブメディアなどで取材記事やインタビュー、コラム、ルポルタージュを寄稿
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