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新入社員が入社3か月で辞めたワケ「取引先とのトラブルに上司も先輩も我関せず」

 多くの企業が新入社員を迎え入れる春。新卒はもちろん、転職してきた人たちで職場の空気は一変する。だが、なかにはすぐに辞めてしまう新入社員もいるのだ。その理由は、いったい何なのか——。  会社見学や面接時には“会社の内情”や“職場の雰囲気”までは見えないものだ。入社してから初めて気づくことがほとんどだろう。すぐに馴染めればいいのだが、そうはいかない場合も多い。

先輩からの引き継ぎミスで入社早々の修羅場

悩むビジネスマン

※写真はイメージです。以下同(Photo by Adobe Stock)

 柳楽太郎さん(仮名・30代)が、20代の頃に勤めていた会社を3ヶ月で退職することになった経緯を打ち明ける。  柳楽さんは大学卒業と同時に同級生たちと会社を興したが、災害と獣害で頓挫。将来や経済面での不安に駆られ、就職活動をすることになった。そのなかで条件の良い企業を発見し、すぐさま応募。人材紹介会社へ入社することに。 「面接も通り、晴れて一般的な会社員として第一歩を踏み出しました。この時点では辞める気など全くありません」  柳楽さんの仕事内容は、アジア諸国から来日して仕事に従事する外国人と、人材を求める企業との間を取り次ぎ管理することだった。 「入社後数日は、業務内容や取引企業について説明を受ける流れでした。1週間もすると、先輩の担当企業の引継ぎをするため、挨拶まわりが始まったんです」  入社して3か月が経過し、先輩たちからの引継ぎも着々と進んだ。そして、柳楽さんも業務に慣れてきた頃、事件が起こる。

前任者は音信不通

「先輩Mから引き継いだ大企業との取り引きでは、本来は引き継ぐ前にMが処理するはずの業務がすっかり放置されていたんです。Mは、僻地の支社へ転勤していて、電話をしてもほぼ音信不通の状態でした」  いま思えば、Mの引き継ぎ自体もずさんだったと柳楽さんは振り返る。さらには……。 「課長は『何か問題が起きたら遠慮なく言え! 俺が面倒見てやる』と豪語していました。にもかかわらず、『その件に私は関係ないのでMとの間で解決してください』と言う始末です。周りもMも、私をかばうどころか、我関せずといった感じを貫かれてしまいました」  そんな経緯もあり、政府機関へ提出しなければならない書類は締め切りを過ぎてしまった。柳楽さんが怒りを露わにする。 「締切日は、そもそも引継ぎ完了日の前だったんです。相手の大企業からはものすごい叱責を受けました。それもそのはずです。その会社で受け入れていた外国人たちは、書類不備で年度契約を更新できずに帰国することになったんですから」
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「抜け殻状態で会社には行けなくなってしまった」
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2016年よりライター活動を開始。出版社にて書籍コーディネーターなども経験。趣味は読書、ミュージカル、舞台鑑賞、スポーツ観戦、カフェ。

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