「それが突然、『今日で退職させてほしい』と言ってきました。辞める理由は、『どうしても場に馴染めない』『相談しやすい雰囲気ではない』『先生との相性もあまり良くない』とのことでした」 　確かに、仕事中は忙しいときもあり、Hと二人で話す機会はあまりなかった。そのため、「もしかしたら孤独を感じていたのかも」と山野さん。Hの研修期間は特に繁忙期だったという。 　結局、新入社員のため、特に引継ぎもなく「辞めたい」と言った当日に退職した。山野さんはとても残念そうに振り返る。 「長く続けていたら、きっと仕事もできる人だろうと感じていたので、早々に辞めると聞いたときはショックでした」 　新田直美さん（仮名・30代）は情報系の会社に勤めている。新入社員たちが入社し、さまざまな部署を研修としてまわっていた。新田さんの所属する部署にきたWを見て驚いた。 　彼女は、カラコンとネイルもバッチリだったとか。 「当初から彼氏の話をよくしていました。弊社では映画に関わる業務があったのですが、ある日、Wが『仕事終わってからこの作品鑑賞していってもいいですか？』と言ってきたのです」 　新田さんは、意外と勉強家な子だと感心した。 「試写会の招待券を取りつけたのですが、手配してくれた上司から『Wさん、昨日行けないって返しに来たんだよ』って。理由を聞けば、『なんか、ケンカした彼氏から連絡来たとかで』とのことで……」 　自社だけではなく、先方にも迷惑がかかることなので「うそだろ？」と思いながら本人に聞くと……。 「Wからは『そうなんです～、連絡が来て、すみませ～ん』の返答。研修中の新入社員に辞められても困るし、私の教育不足となっても困ると思って、とりあえず『次からは気を付けてね』でおさめました」 　こうして、徐々にWの勤務態度に問題が生じるようになる。