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パワハラ、薄給激務…労働問題の相次ぐミニシアターで社会派映画が上映される矛盾

「人間関係が仕事のベースにある」現状

ミニシアター「お友達同士で仕事を融通し合っているからですね」 そう取材に応じてくれたのは映画監督の古澤健さんだ。古澤さんは商業作品やTVドラマで活躍する、第一線の映画監督だ。 学生時代に先輩の話を聞き、撮影現場でのハラスメントに恐怖心を抱いたという古澤さん。プロになってからも古澤さんは「自分の現場ではハラスメントが起きないように気をつけよう」と神経を注いできた。 そして、アップリンクをはじめとする劇場の問題にも、SNSで強く批判してきた。 「監督として思うのは、映像業界って見ず知らずの人から仕事が来ることってまずないんですよ。人間関係が仕事のベースにある。そこから想像すると、配給と劇場との関係が優先されて、末端スタッフへのハラスメントが無視されがちなのかなと感じます」(古澤さん)

「無視すれば被害者の声はなくなるだろう」

件のミニシアターに登壇したり、イベントをしたりすることを受け入れている映画関係者の意識も気になるところだ。ある映画監督はSNSで、アップリンクでのイベントの宣伝を行った。その文面がハラスメントの報道そのものを茶化していたため、炎上を招いた。 「あれが一番端的だと思うんですが、みんな問題は知っているんです。でも、『無視すればいつか、被害者の声なんてなくなるだろう』という感覚がある。被害者の気持ちを考えるよりも、自分や知り合いのことを優先してしまう。 かくいう僕も、公然とアップリンクのあり方を批判しているにもかかわらず、1回だけ、報道後にアップリンクファクトリーで登壇してしまった。それは自分の教え子の監督が作品を上映するとき、ゲストに招かれたからです。 彼女を応援したいという気持ちがあり、『宣伝には協力できない』という条件で、苦渋の決断をしました。ただ、パワハラの被害者の皆さんには今でも申し訳なく思っています」(古澤さん) 古澤監督のように葛藤しながらも、「自作が上映される」「知り合いを応援したい」という気持ちで、件のミニシアターに登壇している映画関係者は多いのだろう。 一方で、普段は政治的な意見を声高に主張しながら、ミニシアター問題だけは蚊帳の外に置く映画関係者もいる。映画メディアが業界内部の問題になると口を閉ざすのも、作り手や配給との関係性と、被害者の苦しみを天秤にかけているからだ。 「僕を育ててくれたプロデューサーは、『制作スタッフだけでなく宣伝も含めて映画なんだ』ってずっと教えてくれました。同じことは劇場や配給の方々にもあてはまるって、僕は受け止めてきました。 おそらく、映画監督や俳優の多くが劇場のハラスメントに無頓着なのって、他人事の感覚があるからなんですよ。僕はそうじゃないと思っているから。ちゃんと関わりたいと思って劇場の問題にも発言をしているんです」(古澤さん)
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配給会社に強行されたら上映を止められない
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