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「ハイブリッド戦争」時代における対外インテリジェンス機関の重要性とは

岸田政権の動きに注目

 3月16日、岸田総理も「ウクライナ情勢に関連し、エネルギーの確保とロシアへの制裁措置とのバランスをどのようにとって今後のロシアからのエネルギー供給に取り組んでいく考えか?」という質問に対し、記者会見で次のように答えている。 「まず、ガス料金については、料金の急激な上昇に一定の歯止めをかける原料費調達制度、こういった措置をしております。政府としては、この制度の下で急激な価格の上昇が起こらないように取り組んでいく所存です。そして(極東シベリアでの石油・天然ガス開発事業)『サハリン2』をはじめとするプロジェクトについてですが、わが国が権益を有してるというプロジェクトであります。長期的にそして低価格でこうしたエネルギーを調達できるという権益をわが国が持っているプロジェクトであります。  そして、サハリン2で申し上げるならば、需要量の約9%に当たるこのLNGを供給している、こうしたことであります。これは、エネルギー安定供給上、わが国にとって重要なプロジェクトであると認識をいたしております。そして、先ほども申し上げましたが、エネルギー安全保障の観点をしっかり追求しながら可能な限り制裁措置を先進7カ国(G7)に同調させていく、こうした取り組みを進めていきたいと思います。そしてそのためにも先ほど申し上げましたG7首脳声明での5つの制裁についてはわが国として、早急に実施をしていきたいと考えています。以上です」(3月16日産経新聞「首相記者会見詳報」)  ちなみに、「日本がロシアの経済開発を維持することは米国の反発を買うのではないか」という懸念については、岸田総理は3月9日の記者会見で「米国の了解をもらっている」ことを明かしている。 「日本銀行人事をはじめとして岸田政権の経済・金融政策に対する不満は多いですが、ウクライナ問題については、欧米諸国と連携して素早くロシアに対する経済・金融制裁に踏み切る一方で、国益尊重の観点からロシアに対する追加制裁のカードを温存しようとする動きには注目したいと思います」 構成/SA編集室 写真/SPUTNIK 時事通信フォト
(えざき・みちお)1962年、東京都生まれ。九州大学文学部哲学科卒業後、石原慎太郎衆議院議員の政策担当秘書など、複数の国会議員政策スタッフを務め、安全保障やインテリジェンス、近現代史研究に従事。主な著書に『知りたくないではすまされない』(KADOKAWA)、『コミンテルンの謀略と日本の敗戦』『日本占領と「敗戦革命」の危機』『朝鮮戦争と日本・台湾「侵略」工作』『緒方竹虎と日本のインテリジェンス』(いずれもPHP新書)、『日本外務省はソ連の対米工作を知っていた』『インテリジェンスで読み解く 米中と経済安保』(いずれも扶桑社)ほか多数。公式サイト、ツイッター@ezakimichio

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 ’17年、トランプ米大統領は中国を競争相手とみなす「国家安全保障戦略」を策定し、中国に貿易戦争を仕掛けた。日本は「米中対立」の狭間にありながら、明確な戦略を持ち合わせていない。そもそも中国を「脅威」だと明言すらしていないのだ。

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