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実写ゲームが「メインストリームになれない」4つの理由。es、街…名作は数あれど

実写ゲームの歴史を振り返る

アナザー・マインド

松下恵さんが女子高生役を演じた『アナザー・マインド』公式サイト

 そもそもテレビゲームがまだドット絵やカクカクのポリゴンだった時代、実写映像を使ったゲーム、“自分で動かせる映画”はひとつの到達点として夢想されていました。  ここで簡単に、過去の実写ゲームの歴史を振り返ってみましょう。古くは任天堂のアーケード向けガンシューティング『ワイルドガンマン』(1974年)で、敵のガンマンが実写映像だったのがルーツとされています。その後、家庭用ゲーム機で実写ゲームの先駆けとして挙げられるのが、PCエンジンCD-ROM2のローンチタイトル『NO・RI・KO』(1988)。アイドルの小川範子さんとデートができるという内容でした。

プレイヤーの選択で8人の主人公の人生が変わる『街』

 実写ゲームが盛んだったのは1990年代後半~2000年代初頭。榎本加奈子さん、新山千春さん、深田恭子さんが出演したエニックスのアドベンチャー『ユーラシアエクスプレス殺人事件』(1998)や、女子高生の精神に入り込んでしまったプレイヤーが謎を解くスクウェアの『アナザー・マインド』(1998)、三上博史さん主演のサイコサスペンス『es (エス) 』(2001)などがありました。個人的には、アドベンチャーではないですが、爆弾を解体していく怪作パズルアクション『鈴木爆発』(2000)が印象に残っています。  こうした系譜のなかでいまだに名作と語り継がれているのが、チュンソフトのサウンドノベル第3弾『街』(1998)。渋谷でお互い面識がない8人の主人公が複雑に絡み合い、それをザッピングしながら選択肢でときほぐしていくエレガントなゲーム性は、群像アドベンチャーのある種の答えといえるでしょう。
街 ~運命の交差点~ 特別篇

刑事や役者など8人の5日間をたどるPSP版『街 ~運命の交差点~ 特別篇』のDLサイト

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実写ゲームはなぜブレイクしない?
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ゲーム雑誌・アニメ雑誌の編集を経て独立。ゲーム紹介やコラム、書評を中心にフリーで活動している。雑誌連載をまとめた著作『はじめてのファミコン~なつかしゲーム子ども実験室~』(マイクロマガジン社)はゲーム実況の先駆けという声も

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