更新日:2022年05月08日 08:43
ライフ

東大生が本気でオススメする「読み応え十分の長編マンガ」ベスト3

○『ゴールデンカムイ』

野田サトル著(集英社)
『ゴールデンカムイ』

『ゴールデンカムイ』

ゴールデンカムイ』は、「アイヌが秘蔵していた黄金財宝」の行方をかけて、さまざまな人物が争う冒険活劇マンガです。  主人公の杉元佐一は日露戦争帰りの軍人。それも「不死身の杉元」として名を馳せたほどの軍人でした。  それがなぜ北海道で黄金を追っているのかといえば、これは史実にも関係してきます。  平たく言えば、当時の日本は日露戦争に勝ったにもかかわらず、金欠になってしまったのです。20世紀初頭、日本は19世紀末の日清戦争に続き、ロシアとの戦争にも勝利したことで、国民の間には大きく戦勝ムードが漂っていました。  しかし、これも表側のことであり、実情としてはまったく潤ってはいなかったのです。日清戦争では莫大な賠償金を受け取ることができたものの、日露戦争では賠償金がなく、領土(正確には領土を借りる権利)を得たのみだったので、財政的には非常にピンチに追い込まれてしまったのです。  実際、こうした社会情勢により日比谷公園では焼き討ち事件が起きたほど。「日清戦争では儲かったから頑張ったのに!」という不満があったのでしょうか。

丹念な取材に基づいたアイヌ文化や北海道の描写

 さて、これで割を食うのは命がけで戦った兵隊たちです。近代的兵装を整え、欧米列強に名を連ねていた当時のロシア帝国に勝利するために、当時の日本軍も大変な被害を被ることになりました。  文字通り、決死の覚悟で戦い続け、ギリギリのところでようやく手にした勝利だったのです。それにもかかわらず、まったく儲からない。そういった不満を抱えた兵たちの一部は、一獲千金を夢見て、北海道にて砂金採りに手を出しました。この物語の主人公である杉元も、そうした「夢見組」の一人だったのですね。  本作の魅力は、綿密な取材に基づいたアイヌ文化や当時の北海道の描写。アクションパートも魅力的ではありますが、それ以上にアイヌの人々の暮らしぶりや考え方、文化の一端をうかがい知ることができるという点が非常に貴重かつ面白いのです。  つい先日、最終話を迎えた『ゴールデンカムイ』ですが、この機会に手を出してみるのはいかがでしょうか?
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1997年生まれ。世帯年収300万円台の家庭に生まれながらも、効率的な勉強法を自ら編み出し、東大合格を果たす。著書に最小限のコストで最大の成果を出すためのノウハウを体系化した著書『東大式節約勉強法』、膨大な範囲と量の受験勉強をする中で気がついた「コスパを極限まで高める時間の使い方」を解説した『東大式時間術』がある。株式会社カルペ・ディエムにて、講師として、お金と時間をかけない「省エネ」スタイルの勉強法を学生たちに伝えている。(Xアカウント:@Temma_Fusegawa

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