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夫の悪口を言いふらしていた妻。夫は「傷ついた」と伝えるべきなのか?

自分のせいで妻が傷ついたことを受け入れるのは辛かった

「あれからずっと妻が私の悪口を言っているのはわかっていましたが、攻撃することなく、やりすごしていたんです。そうしたら今日、私の言動の嫌だったことを少しずつ話してくれて……自分の加害にどれだけ妻が傷ついたかを受け入れるのはとても辛かったのですが、GADHAで仲間をケアしようと言葉をかけたときのことをひとつずつ思い出しながら、『そんなに傷つけてしまったのに、今までわかろうともしなくてごめん。そんな私の態度にも、君はずっと傷つき続けていたんだね。君が怒るのも当然のことだと思う。話してくれてありがとう、今まで本当にごめんね』と伝えたんです」  西村さんは丁寧にその日のことを話してくれました。「あなたが初めてちゃんと謝ってくれた。私の気持ちを尊重してくれたと思った」と、パートナーは語ってくれたそうです。  西村さんが変わったのは、「自分がパートナーに与えた被害の重さ、傷の深さを理解すること」「それを表してくれたときには、その気持ちがあることを認め、尊重すること」というケアができるようになった点です。

被害者からの反撃を受けて、傷ついても良い

 少しばかり変容に取り組んだだけでは、関係を改善するには程遠いのが事実です。加害者が与え続けた被害の重みは、一朝一夕に解決できるようなものではないからです。西村さんは、パートナーが長い間我慢していたことを理解し、時間をかけて相手の気持ちを尊重しようとすることができました。パートナーの方にそれを伝えられたことはとても幸運なことだったと思います。  モラハラをした側は、被害者からの反撃は甘んじて受けるべきと思うかもしれません。しかし、それに傷ついてしまったことを正直に認め、弱音を吐けるようになったこと。実はこれは、とても大事なことです。実はこういう相談や愚痴をこぼせる人間関係を持っていない加害者が本当に多いのです。これができて初めて、加害者変容は「持続可能」になります。  自分が傷つけてしまった人にケアをすること。そして、そのプロセスでの自分の傷つきは被害者にぶつけるのではなく、仲間や友人にケアを「依頼」してケアして助けてもらうこと。それこそがモラハラ再発防止に必要なことであると考えています。
DV・モラハラなど、人を傷つけておきながら自分は悪くないと考える「悪意のない加害者」の変容を目指すコミュニティ「GADHA」代表。自身もDV・モラハラ加害を行い、妻と離婚の危機を迎えた経験を持つ。加害者としての自覚を持ってカウンセリングを受け、自身もさまざまな関連知識を学習し、妻との気遣いあえる関係を再構築した。現在はそこで得られた知識を加害者変容理論としてまとめ、多くの加害者に届け、被害者が減ることを目指し活動中。大切な人を大切にする方法は学べる、人は変われると信じています。賛同下さる方は、ぜひGADHAの当事者会やプログラムにご参加ください。ツイッター:えいなか

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モラハラ、パワハラ、DV
人間関係は“ことば”で決まる

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