劣等感の解消法1「強みとして捉えて、良い面を利用する」
はまい:そうですね。コンプレックスを克服するのはやっぱり大変なので、僕も基本的には克服するのではなく、利用した方がいいと思っています。一度武器に変えてしまえば、気にならなくなりますし。コンプレックスは立体的なものなので、正面から見ると弱みに見えてきてクヨクヨしがちですが、別の側面から見ると強みに変わったりもしますね。
カリス:具体的に、コンプレックスの“良い面”を利用した経験ってあったりしますか? たとえば、低身長は「親しみやすい人」、コミュ障は「慎重な人」と捉えることもできると思います。9浪だって「社会進出が遅れた人」ではなくて、「面白い人」「激レアさん」として捉えることもできますし(笑)。出る杭は打たれますが、出過ぎればキャラ設定になるというか。
はまい:褒めてくれてありがとうございます(笑)。たとえば、幼少期は自分の顔にコンプレックスを感じていましたが、今となっては逆に強みとして捉えるようになりました。自分を含めて従兄弟は8人いますが、おばさんから「はまいの顔は8人中、下から2番目」と言われたことがあって、ずっとショックを受けていました。でも、今は親しみやすい「等身大の顔」ということで、自分の顔に愛着を持てるようになりましたね。
カリス:確かに言われてみれば、はまいさんはメガネも相まって、のび太みたいな顔ですもんね! 全然緊張せずに自然体で話せますし、僕は安心感があって好きです!
僕は早口が原因で、よく聞き返されたり、冷たく見られたりするのがコンプレックスでした。でも、早口のほうが「優秀かつ自信家」に見えて、説得力が上がって得すると実感してからは、いつも堂々と早口でしゃべっています。あと、同じく早口の人とはすぐ仲良くなれるわけですし。
劣等感の解消法2「弱みとして受け入れて、別の強みへの足掛かりにする」
カリス:あと、コンプレックスって、それ自体が強みにはならなくても、それをきっかけに自己分析すれば別の強みを気づかせてくれることもあるので、僕はとっても良いものだと思うんですね。たとえば僕は遅刻しがちですし、単純作業もとても苦手ですが、だからこそ「クリエイティブな仕事になら集中できる」という強みを発見できました。
はまい:すごく分かります! 僕自身も単純作業は超苦手ですし。弱みは「できない」と割り切ることも大切ですね。実際に僕は、理数系を弱みとして受け入れて「言語力や暗記力が問われる別の教科に集中する」ことで、9浪目にして早稲田に合格できました。理数系の勉強をずっと頑張ったところで、過去問を60周して7点が40点に上がっただけなので、やっぱり僕には向いてなかったんだと思います。それを受け入れることで、僕は前に進めましたし、進化できました!
カリス:コンプレックスって、万人受けを目指して、無理して克服する必要なんてないですからねー。褒められた人生なんて、目指さなくていい。人生は「自己満」なんだから、自分のペースで、できることに集中して生きていけばいい。
そうしていくうちに、何かしらに成功したり、人に認められたり、趣味を楽しんだりして、コンプレックスに囚われなくなります。僕は父親と呼べるような人がいないのがコンプレックスでしたが、色々な成功体験を重ねることで、そんなのはどうでもよくなりました。
はまい:「自分は自分でしかないので、他の誰かになろうとしない」ってことですよね! コンプレックスで悩んでる人にとって、ものすごく励みになる言葉だと思います。そういえば最近、コンプレックスでクヨクヨしてた僕の浪人時代を振り返って、反面教師になるような本を出版しました!
カリス:受験に失敗する100パターンとその回避法が載った
『浪人回避大全』ですよね? 僕がこんな推薦文を書きました(笑)。「9浪の彼も-(マイナス)2浪の僕も、受験成功の秘訣は同じだ」。
最後に、僕たち2人からの言葉をあなたに贈ろう。
「自分の弱さを認める勇気が、明日の自分を変える」(9浪はまい)
「人生は自己満。なのに他己満だと思うからみんな苦しむ」 (カリス)
文・写真/東大AI博士・カリス
1993年、韓国生まれ。16歳で東京大学に合格。日本政府から天才認定(学生としては初めて、研究業績だけで永住権を取得)を受ける。博士(情報理工学/東京大学)。英・ケンブリッジ大学/独・ミュンヘン工科大学/伊・ミラノビコッカ大学で訪問研究。⽇本トップレベルの医療AI研究者であり、「みんな健康かつ笑顔で暮らせる社会」を実現すべく、医用画像データプラットフォームを手がける
Callisto株式会社を創業。YouTubeチャンネル『
カリス 東大AI博士』にて、科学的勉強法・科学的思考法・AIなどについて配信中