仕事

六本木ホストの経験も活かして通販社長に「過去の苦労が血肉になっている」

「安かろう悪かろう」のコンタクトレンズが淘汰されている

レンズアップル

レンズアップルのECサイトより。写真はパレンテのOEM商品「WAVE」

 そんななか、コンタクトレンズ市場におけるコロナ前後でのトレンドの変遷や消費者志向の変化について、吉田さんに伺った。 「私が業界に参入した時は、激安コンタクトレンズ店が新たな潮流となって勢力を拡大しているときで、同じタイミングでちらほらと通販の店舗も出現してきて、まさに群雄割拠でした。当社も対面販売の店舗出店でローカルチェーン展開はしていたものの、千葉、大宮以外は大手に負けている状態で、コンタクトレンズ通販業界では圧倒的ナンバーワンが存在していなかったことからすべてのリソースを通販へシフトする事業方針に舵を切ったんです。 そこからスマホが普及するにつれ、消費者はどこでもコンタクトレンズを買えるようになりました。この10年で、安かろう悪かろうというものがなくなり、中途半端なコンタクトレンズブランドは淘汰されてきたと考えています。今では粗悪なレンズはほとんどなく、かなり品質の良いレンズが出回るようになりましたね」  以前はコンタクトレンズ市場の参入が激しく、玉石混交になっていた状態から、現在は商品力や価格競争力が物を言うようになっているそうだ。 「レンズアップルでは多様な商品を扱っていますが、今のコンタクトレンズのすごさをもっとお客様に伝えたいなと思っています。我々は良い意味で“コンタクト原始人”と捉えているんですが、要は普段つけるコンタクトレンズにそこまでクオリティを求めないお客様に、ぜひメーカーの企業努力でスペックや付加価値が加わった今のコンタクトレンズを試してもらいたい。そんな思いを持って、販売促進を行っています」

BLEA学園と共同で開発した若年層向けのカラコン

BLEA学園

BLEA学園と共同で開発した「WAVEワンデー UV RING Plus Limited Collection by BLEA」

 また、2020年からBLEA学園と連携して“カラコン”の開発も手がけているという。  若年層のカラコンニーズは「昔よりも多様化している」と吉田さんは話し、産学連携の取り組みを始めた経緯を次のように語る。 「盛りたい、目を大きく見せたい、ハーフのような見た目にしたい、カラコンを入れているのを隠したい……。など、カラコンに求めるニーズはかなり広がっています。そんななか、若年層向けにカラコンの新商品を出そうと企画をしているとき、会議にいるのがおじさんばっかりだったんですよ(笑)。さすがにこれではニーズに応えられないと思い、行き着いたのがBLEA学園の学生と共同で商品開発することでした。
BLEA学園

BLEA学園「カラコン開発部」のワークショップの様子

 BLEA学園内で取った『産学連携でやってみたい商品は?』というアンケートではカラコンが1位だったこともあり、まさに絶好の機会でした。『カラコン開発部』と名称し、放課後のワークショップを通して企画を進めていったんです。日の目を見るまでに1年半かかりましたが、当社としても新しい試みとなりました。これからも、BLEA学園とのコラボや千葉ジェッツのチアリーダー「スタージェッツ」とコラボしたカラコンのように、使用するシーンやターゲット層に焦点をあてたカラコンの開発にも挑戦していきたいと思っています」  今後も“見る”ことに特化したプロダクトやサービスを開発していきたいと吉田さんは意気込む。 「現在、レンズアップルではコンタクトレンズしか扱っていませんが、目薬やサングラス、アイマスクなど“見る”に関連する商品も販売していく予定を立てています。また、ECサイトの売り上げ比率は100%国内ですが、将来的には海外展開も視野にいれながら、引き続き事業を推進していきたい」 <取材・文・撮影/古田島大介>
1986年生まれ。立教大卒。ビジネス、旅行、イベント、カルチャーなど興味関心の湧く分野を中心に執筆活動を行う。社会のA面B面、メジャーからアンダーまで足を運び、現場で知ることを大切にしている
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