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映画復帰の伊藤健太郎が実感「自分に手を差し伸べてくれる人がいる」ありがたみ

自分に手を差し伸べてくれる人がいる有難み

伊藤――特にどんなところに共鳴しましたか? 伊藤:具体的なところで言うと、父親とのシーンですかね。お互いにもっと素直に気持ちを伝えれば、思いも伝わっただろうにと。淳に対しても、お父さんに対しても、不器用な感じがすごく理解できました。ただ、淳の孤独はすごく分かりますが、視野を広くしてみれば、自分に対して手を差し伸べてくれる人たちは結構いるとも感じてもどかしかったです。 ――伊藤さん自身は乗り越えたからこそ、「もっと素直に」と言えたり、もどかしい部分があるのでしょうか。 伊藤:そうですね。淳とは状況が違いますが、僕は淳と比べて、自分に対して手を差し伸べてくれる人がいる、その有難みや温もりといったことに早い段階で気づけたと思います。だからこそ、淳を見ていて、もっとこうすればいいのにといった気持ちになりました。

「ありがとうございました」しか出てこなかった

冬薔薇

(C) 2022「冬薔薇(ふゆそうび)」FILM PARTNERS

――より特別な作品、撮影だったと思いますが、クランクアップのときのことを教えてください。 伊藤:はっきりとは覚えていないんですけど。淳の父親役を演じた小林薫さんが酒瓶を持って船に乗っていくシーンを撮って、そのあと、まったく同じカットで、今度は僕が船に向かっていくシーンを撮影したんです。その、お父さんと同じ動きの撮影をしたことによって、なんだか繋がれた感じがするなと思えて、そのあと、オールアップになりました。 ――「オールアップです」と言われたときは? 伊藤:やり切ったという思いと、終わっちゃったという両方の複雑な気持ちでしたが、今までに感じたことのない感覚におそわれました。「ありがとうございました」しか出てこなかったです。
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歩き出せていなかったら…
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ケーブルテレビガイド誌の編集を経てフリーランスに。映画周辺のインタビュー取材を軸に、テレビドラマや芝居など、エンタメ系の記事を雑誌やWEBに執筆している。親類縁者で唯一の映画好きとして育った突然変異。X(旧Twitter):@mochi_fumi

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