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「絶望犯罪」が増える冷たい世の中で、弱者が生き残る術/だめ連

内向型人間は“出会いの質”が高い

ーー「コミュ力」という言葉はある時期から多く流通するようになりました。しかし、それは技術の問題ではない、と。 ぺぺ:そういうことが言われているというのは聞いていたけど、ここまでとは思わなかった。 ーーしかし、状況がせっぱ詰まっていたり、コミュニケーションをとるのが難しいなど、いわゆる「厳しい」ところにある人ほどそういうのを作るのが大変なのでは。 神長:そう。けれど、厳しい人同士で会うと思いの外なんとかなることもある。コミュニケーションにもあるフレームがあって、コミュニケーションが苦手な人、「厳しい」人であっても、そういった人同士でだめ連交流会などに来て、けっこう喋ったりするなどということがある。引きこもりの人同士で会ったら、話が盛り上がる、とか、友達ができるとか、そういうこともあるし。コミュニケーションの世界も広いというか、複雑というか。少なくとも単純なものではない。 ぺぺ:「おれは内向型人間だ」という人がいるんだけど、その人には「内向型人間が出会える場を作っていきたい」という展望がある。内向型人間は、人に100人会わないとしっくりくる人がいないそう。 神長:それも大変だ。 ぺぺ:大変だろう、と思ったけど、なるほどな、とも思った。そして、仮にしっくりくる人がいたとして、その出会いの質はすごいものだと思う。 神長:だから、まさに今これからどういうようにやっていくか、というのが、地道に大事。助け合いじゃないけれど、1人だけ幸せになるんじゃなくて、みんなで幸せになれるものを作っていく重要な時。 ぺぺ:まず目の前の戦争に圧倒されてしまうのはある。けれど、サマー・オブ・ラブ(※1967年頃より、ヒッピーなどからアメリカ合衆国を中心に発生した社会的・政治的ムーブメント)なども、厳しい社会状況のなかだからこそ出てきた、というのもある。

希望は「連帯すること」

神長:サマー・オブ・ラブの話が出たけれど、厳しい時期だから出てくる、できることがある? ぺぺ:厳しいというか、動乱期だから出てくる。サマー・オブ・ラブは危機に対する応答だから。そして、1967年と(80年代後半に発生したイギリスのレイヴカルチャーなどに代表されるセカンド・サマー・オブ・ラブと)前の二回はリハーサル。今、2022年が本番のサマー・オブ・ラブ。セカンド・サマー・オブ・ラブのときには社会主義圏の崩壊などがあった。これは、日本では微妙な形で現れたけど、おれは当時社会党でバイトしてたから、その瓦解を見ている。 神長:このころ、左派の人には夢が破れた、というようなものがある。 ぺぺ:わりとはっきり見えてた。(東西が統一した)ドイツとかにいたら途方もない変動なんだろうけど。 神長:日本でも、これで資本主義が勝った、と言われた。 ぺぺ:時代の変化が資本主義の勝利というかたちで理解されてしまった。 ーーでも、バブル期の30年前も本当は終わっていたのかもしれないですね。 神長:そう、終焉が明るみになってきている。 ぺぺ:サマー・オブ・ラブって、最初が(ベトナム戦争期の)ウッドストックみたいな感じで、セカンド・サマー・オブ・ラブは社会主義圏の崩壊とリンクしている。そして、それぞれドラッグが絡んでいる。最初はLSD、次がエクスタシー。「では、サード・サマー・オブ・ラブはあるのか」という話をこの間友人としていたんだけど、それは激動の時代であるいま、じゃないかと。それでドラッグの話になって、LSD、エクスタシーと来ていて、次のドラッグはあるのか、という話になった。ドラッグがないなら、どのようにないのか、など。 神長:それは、ドラッグではない、という気はする。最初のLSDは意識の拡張、というようなものがあって、エクスタシーも、他人と抱き合ったりとか、自他の壁がなくなる。どっちも重要だし、そのエッセンスは取り入れて、けれど、究極的にはドラッグなしで。なくてもできるというのが一番いい。 ぺぺ:こういう状況で、日本では大麻の厳罰化が問題になっている。大麻は使用罪がないんだけど、厳罰化すると。医療目的では緩和するけど、一方で。日本という国を表していると思う。ここで以前に神長くんの言ったことで締めると、サマー・オブ・ラブにはドラッグが随伴していたけど、でも、3回目はどうかというと、「サード・サマー・オブ・ラブは、愛そのものだ」。 だめ連 1992年、早稲田大学第二文学部の同窓であった神長恒一、ぺぺ長谷川により結成された、「賃労働をしない(できない)」「恋愛しない(できない)」「家族を持たない(持てない)」といった者たちが、そのような諸々を「だめ」とするプレッシャーを与える社会に問題があるのでは、との観点からオルタナティブな生き方を模索する集団。SPA!などメディア出演も多数。著書に『だめ連宣言!』(作品社)など。現在も「だめ連交流会」や「だめ連ラジオ」などの活動を行なっている。
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