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台風並み「春の嵐」で風力発電所はウハウハ?

気象衛星画像

気象庁、気象衛星画像より。4月3日12時30分時点

 先週に続いて再び日本列島を直撃した春の嵐。すでに九州から西日本にかけて暴風域に入っており、福井県敦賀市では最大風速37.5メートルを観測、石川県では強風に煽られ転倒した女性が死亡するなど、各地で猛威を振るっている。気象庁は3日午後から4日にかけて、台風並みの強風が全国的に強まるとして、厳重な警戒を呼びかけている。  この「台風並み」という表現に、台風と何が違うの?という素朴な疑問を抱いた方も多いのでは。そもそも「台風」とは、北西太平洋域の熱帯または亜熱帯域に発生する低気圧のうち、低気圧域内の最大風速がおよそ17m/s(34ノット、風力8)以上のものを指す。「春の嵐」の原因となっている温帯性低気圧は、より高緯度の日本海側で急速に発達したものなので、台風には含まれない。  構造的にも違いがあり、台風が蒸発する海水が発生源となるため温かい空気だけでできているのに対し、温帯低気圧は寒気と暖気が接することで発生、前線を伴うことも多い。また、台風の場合、風は中心付近のエリアで風が強く吹くが、温帯低気圧では広い範囲で強風が吹く、といった違いもある。  台風と今回のような大型の低気圧との違いはさておき、「風」と深い関わりを持つ風力発電所では、今回のような強風や台風に対して、どのような対応を行っているのだろう。風が吹けば桶屋が……という事でもないが、強い風が吹けばその分発電量も上がってウハウハ、なんて事があるのだろうか?  風力発電関連企業に勤める男性は語る。 「風車の種類や大きさにもよりますが、基本的に風が強い方が発電量は増えます。ただ一般的な風車は風速25メートルを超えると安全のため自動で停止するので、今回の嵐は強すぎるかもしれませんね。1年を通してみると台風シーズンより、コンスタントに風が吹く冬場が最も発電量が多くなります。風車は現地の管理事務所とセンターとを結んで24時間管理しているので、今回の嵐でも特に問題は無いでしょう」  再生可能エネルギーとして注目を集める風力発電。当然だが強い風がただ吹けば良い、という単純なものではないようだ。  日本気象協会の予測では、4日午前のピーク時には風速15メートル/秒の範囲が直径2000kmに及び、台風の大きさを示すランクでは最大級の「超大型」に相当する勢力に達する見込み。首都圏では東京23区に約2年ぶりとなる暴風警報が発令され、帰宅ラッシュ時の交通機関の乱れが予想されている。引き続き「春の嵐」の動きに注意しよう。 <取材・文/日刊SPA!取材班 画像/気象庁ホームページ(http://www.jma.go.jp/jp/gms/index.html)>
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