ニュース

山上容疑者に共感する人たちの知られざる胸中「怒りの矛先は、いつしか社会に向かっていた」

同じように殺人を犯してしまった人は……

安倍氏銃撃事件

銃撃現場に設けられた献花台。写真/朝日新聞社

 どんな時代に生まれ、どんな境遇で育ったとしても、殺人を犯すなど言語道断だ。しかし、同じように殺人を犯した人は違う感情を抱くという。 「俺の父親は酒乱で暴力癖がひどくて、仕事もせずに酒を飲んで暴れるような人でした。母親は蒸発し、物心ついたときには父と父をかばう祖父母を殺したいとばかり思っていた。そして17歳のとき、酔っ払いに絡まれて仲間と2人でボコボコにして殺してしまい、少年院に入りました。  山上のようにフラストレーションが溜まっている状態なら、些細なことが引き金になって犯罪をやってしまうのは、正直わかるんです。パンパンに膨らんだ風船が破裂するみたいな感じで」(40代男性)  当然ながら、共感しても同じような犯罪をしようなどとは誰も思わない。しかし、私も含め、山上容疑者の凶行を「単なる異常者の行動」と片づけられない人がいるのも、また事実なのだ。  生きづらさを抱えた人にとって、彼はまるで自分を映す鏡のような存在になっている。

山上徹也が歩んだ半生(各種報道より作成)

【 ’80年(0歳)】 三重県で誕生後、幼少期は大阪府東大阪市で過ごす 【 ’84年(4歳)】 父親が自殺。家族で母親の実家がある奈良市内へ転居。兄が小児がんを患い、抗がん剤治療によって右目を失明。祖父、叔父が生活の支援を行う 【 ’91年(11歳)】 母親が統一教会に入信(叔父の証言/旧統一教会の発表では’98年)。父親の死亡保険金6000万円を献金 【 ’96年(16歳)】 奈良県内の名門高校に入学し、バスケットボール部や応援団に所属 【 ’98年(18歳)】 祖父が死亡。母親が祖父の建設会社を引き継ぐも、土地や自宅の売却代約4000万円を献金 【 ’98~’02年(18~22歳)】 経済難で大学進学できず、消防士を目指すが近眼が原因で試験に不合格 【 ’02年(22歳)】 海上自衛隊に任期付き自衛官として採用。母親が自己破産 【 ’05年(25歳)】 海上自衛隊在籍中に自殺未遂で入院。その後、任期満了で退官。測量会社でアルバイトをしながら測量士の資格を取得。派遣社員として仕事を転々とし、少なくとも8回の転職 【 ’09年(29歳)】 母親が引き継いだ建設会社が解散。叔父が世界平和統一家庭連合と交渉して5000万円を取り返すも、母親が再度献金 【 ’13年(33歳)】 兄が自殺 【 ’20年(40歳)】 京都府内の工場で働き始める。愛知県常滑市を訪問した家庭連合の韓鶴子総裁を火炎瓶で襲撃しようと計画 【 ’22年(41歳)】 同僚との口論をきっかけに無断欠勤が始まり、体調不良を理由に退職。直後に再就職も3週間で辞め、以降は無職 取材・文/週刊SPA!編集部
1
2
3
4
おすすめ記事