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キリンが独自素材を日本コカ・コーラに提供。「敵に塩を送る」狙いとは

ライバル関係がまさかの提携

キリンビール株式会社 本社 キリンホールディングス株式会社(以下、キリン)が、独自素材「プラズマ乳酸菌」を日本コカ・コーラ株式会社(以下、コカ・コーラ)に提供することが発表されました。  キリンとコカ・コーラは2社合計で日本の清涼飲料水の約4割のシェアを占めるなど、いずれも日本を代表する企業です。  同時に業界内では競合となり、シェアを競い合うライバル関係。つまり、今回のような技術提供は非常に珍しいケースとなります。  キリンはなぜコカ・コーラに「プラズマ乳酸菌」を提供するのか?  まるで孫悟空とベジータ、大阪桐蔭と横浜高校。ライバル関係のまさかの提携、その狙いを解説しましょう。

きっかけはビール離れにあり。打開策としてのプラズマ乳酸菌

「プラズマ乳酸菌」の提供の意図を知るために、まず見るべきなのがビール市場です。  なぜビール?と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、「若者のビール離れ」が今回の提供の根底にあります。  ビールはピーク時の1994年には日本国内で約705万キロリットルと膨大な量を消費していましたが、2015年段階で537万キロリットルまで減少しています。  まだ大きな市場であることは間違いないですが、毎年のように前年割れと縮小傾向です。ビール離れとは漠然としたイメージではなく実際の数字に現れており、ビール販売各社にとっては悩みの種となっています。  これは「一番搾り」ブランドを展開しているキリンもご多分にもれずです。  今後、キリンはビールと並ぶ、あるいはビールを超える別ジャンルでの新商品を開拓しなければ長期的な展望は危うくなる可能性があります。
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健康・医薬分野に注力
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経済アナリスト/一般社団法人 日本金融経済研究所・代表理事。(株)フィスコのシニアアナリストとして日本株の個別銘柄を各メディアで執筆。また、ベンチャー企業の(株)日本クラウドキャピタルでベンチャー業界のアナリスト業務を担う。著書『5万円からでも始められる 黒字転換2倍株で勝つ投資術』Twitter@marikomabuchi

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