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しまむら「円安でも強気賃上げ」のナゾ。弱気が目立つユニクロと何が違う

円安、原価高騰のあおりを受けるアパレル業界

しまむら 小売企業は円安と原価高騰のダメージが大きい業界のひとつです。その小売りの中でも特に影響が大きいのがアパレル業。  ユニクロを展開している業界最大手、ファーストリテイリングの柳井正・会長兼社長が「円安のメリットは全くありません。日本全体からみたらデメリットばかりだ」と発言したことも記憶に新しいですね。アパレル業界は、為替市場での円安の進行、原材料高などに対する懸念が指摘されています。  しかし、そんな逆風でも好調を維持している企業もあります。  それが同じくアパレル業大手の株式会社しまむらです。しまむらは「ファッションセンターしまむら」を筆頭に全国で衣料品チェーンを展開しています。  この先行きが不安な状況下でしまむらは全体で5.6%もの賃上げも敢行。「物価は上がってるのに、給料は変わらない」という不満を口にする人も多い中、しまむらはその例外として賃金があがっているのです。  もちろん賃上げを実現できたのは利益が拡大しているからです。なぜ、しまむらは好調なのか。その理由を探っていきましょう。

しまむら、1Qの売上は過去最高を更新

 アパレル業界売上高1位のユニクロ・柳井氏が円安への懸念を露わにするなかで、業績好調の業界2位のしまむら。対照的な2社の現状となりましたが、改めてしまむらの直近の業績を簡単に紹介します。  6月27日に公表された決算資料によると、2022年第1四半期の売上高は前期比5%増の1493億円。この売上はしまむらの第1四半期としては過去最高です。  また、通期の予測でも2022年2月期の売上高は前期比3.9%増の6066億800万円、営業利益は同5.3%増の520億5800万円、経常利益は同4.8%増の529億9800万円と、すべて過去最高となる見通し。その背景もあり、しまむらは賃上げに踏み切りました。  全体で5.6%の賃上げを実施した影響で、人件費は5%増加、電気料金の値上げにより、水道光熱費は28%増となったにもかかわらず、過去最高を出しているのです。  しかも、定番商品は「できる限り価格を維持」する方針だといいます。つまり、しまむらは今後も好調を維持できると見込んでいるということです。  しまむらは円安・原料高の影響を受けていないのでしょうか。結論を先に述べると「影響は受けているが他社に比べると小さい」ということがしまむらの強さの秘訣にあります。どういうことなのか、具体的に説明していきます。
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強すぎる!しまむらの自社ブランド
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経済アナリスト/一般社団法人 日本金融経済研究所・代表理事。(株)フィスコのシニアアナリストとして日本株の個別銘柄を各メディアで執筆。また、ベンチャー企業の(株)日本クラウドキャピタルでベンチャー業界のアナリスト業務を担う。著書『5万円からでも始められる 黒字転換2倍株で勝つ投資術』Twitter@marikomabuchi

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