恋愛・結婚

「こんなに謝ってるんだから水に流せよ」モラハラ加害者の主張がズレている理由

「許してくれないのはおかしい」はおかしい

 許すという言葉の意味は多様なものがありますが、ひとつ言えることがあります。今回のようなケースだと、少なくとも関係終了とか離婚には至っておらず、まだ関係を継続する意図が被害者側にあるということです。  許すという言葉が「まだあなたと生きていく選択をする」という意味ならば、もうすでに許していると言えるわけです。しかし、「無かったことにして元通りになること」を意味すると考えるなら、まだ許していないと言えるかもしれません。  ですから、もしもパートナーを傷つけてしまって、自分が深く謝ってもなかなか相手が元通りになってくれないと思う時は、まず第一に「それでもまだ一緒に生きていくという選択をしてくれている」ということに感謝をする必要があります。  そして、謝るということだけでは感謝にはならないでしょう。感謝とは相手のニーズを満たそうとすることに他なりません。  例えば「ありがとう」という言葉を発することも、相手が言葉を求めていないならば感謝にはなりません。相手がどんなニーズを持っているか、それをどうケアできるかを考え、その言動をとることこそが感謝することなのです。 「許してくれないのはおかしい」と言うことは、そのような感謝とは最も遠い行為です。笑顔になったり、前と同じように笑い合えない状態の中でできることは、そんな中でいかに相手のニーズを満たそうとするか、すなわち感謝を示すかということになります。  もっというと、そもそも「謝る」ことが相手にとって本当のニーズなのかも考える必要があります。「謝ってほしいわけじゃない」と言われて混乱したことのある人もいるかもしれません。  謝って自己憐憫に浸り自分が悪いんだと相手に伝えているうちは、相手のニーズを満たすために何かを考えることができていないとも言えます。相手はどんな時間を過ごしたいと思っているのか、その時間のために自分がどう寄与できるか、そんな視点に立ってみることが、関係改善に効くかもしれません。  人を傷つけてしまった時「どうしてこんなに謝ってるのに許してくれないの?」と思ってしまうことがあるかもしれません。その謝罪や反省が真剣なものであるほど、そう思ってしまうことがあるかもしれません。

逆に、自身が被害者であるように感じ始めると終わり

こんなに言葉を尽くしたのに…… こんなにちゃんと謝っているのに……  でも、それを被害者に伝えることは逆効果になる時があります。そのしんどさや苦しさは、当事者間で共有したり、カウンセラーの方など、被害者以外に吐露しないと、どんどん関係が悪化していく理由になってしまいます。 「許さない相手を許さない」と思うに至ると、今度は自分が被害者であるような気さえしてきます。その時、攻撃は「正当性を持った反撃」に変わります。  その負の連鎖を断ち切り、大切な人を大切にするためには、「謝る」と「ゆるす」について考えてみるのが役に立つかもしれません。
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被害者or加害者かもしれないあなたへ
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