梨泰院「ハロウィン群衆事故」から考える、日本における“満員電車の危険性”
ソウルの繁華街・梨泰院で10月29日深夜、「ハロウィン圧死事故」が起きた。150人以上の人が亡くなり、人混みという空間がいかに危険であるかを考えた人は少なくないはずだ。
人混みは決して非日常的な現象ではなく、満員電車もかなりの密集地帯と言える。梨泰院のような惨劇が起きる可能性など、群集事故に精通している関西大学教授の川口寿裕氏に話を聞いた。
まずハロウィン圧死事故について聞くと、「梨泰院の事故ではかなり密集しており、恐らく1平方メートルに16人ほど密集していたと思います。300~400キロ以上の圧力が1人あたりにかかっていたのではないでしょうか」と分析。
一方、日本の満員電車でも同様のケースが起こり得るかどうかについて、「それは非常に考えにくいです」と答える。
「ハロウィン圧死事故では、群衆の圧力によって息を吸おうにも肺が膨らまず、窒息して亡くなった人が多かったです。ただ、日本の満員電車は多くても1平方メートル8~10人ほど。扉付近などで局所的に1平方メートル10人を超えるところでも、1人1人にかかる圧力も数十キロほどですので、呼吸困難に陥る可能性は低いです。
一方、梨泰院の事故は1平方メートルに15~16人が密集していました。満員電車の乗客を車両半分に圧縮したぐらいの状況が梨泰院の事故現場で起きていた、と想像するとわかりやすいのではないでしょうか。数人の駅員が押し込んだぐらいでは、そのような密集状態にはなりません」
とはいえ、「車内が満員で、なおかつ急ブレーキやカーブなどで大きな力が加わり、その際に躓いてしまい他の人に押しつぶされると危険な密集状態ができるおそれはあるでしょう。さまざまな要素が重なることでハロウィン圧死事故に近い状況が車内でも再現されるかもしれません」としつつも、「裏を返せば、いろいろな偶然が重ならない限りは圧死することはないように思います」という。
ただ、リスクがゼロではない以上、満員電車に乗車している際に気をつけるべきこともあるのではないか。
「イヤホンなどを落としてしゃがんでしまうと他の乗客に押しつぶされかねません。また、小さい子供が乗っているケースもありますので、身長差によって他の人に押された時に、子供を下敷きにする可能性もあります。つり革などに捕まっておくと怪我をするリスクも、怪我をさせるリスクも減らせるでしょう」
日本での類似事故の可能性は
偶然が重なればゼロではない?
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