昨年のレースを制した高木真備元選手の引退により、現役女王不在の状態で行われるガールズグランプリ。今回は賞金ランキング上位6名と、11月に小倉競輪で行われたガールズグランプリトライアルで優勝した佐藤水菜選手の7名で繰り広げられる。新たな女王として君臨するのは果たして誰だ？ ——ではガールズグランプリに関してはどうでしょう？ 店長：注目となるのは、やっぱり児玉選手と佐藤選手ですね。女王と言われ続けていた児玉選手が、最近は佐藤選手に負けているんですよ。なので、世代交代か？　女王再臨か？　という点が一番の見どころになります。わたくし個人としては、児玉選手が女王という立場に君臨してからの苦悩などを見てきてますので、なんとか児玉さんには意地をみせつけて女王に返り咲いてもらいたいですね。ただ正直、今の捲りのスピードは佐藤選手の方が上なので、ある程度の条件が揃わないと児玉選手が佐藤選手より先着するのは難しいと思ってます。 ——その条件とは？ 店長：勝負どころで、佐藤選手よりも前の位置にいて、佐藤選手の仕掛けに合わせるか、もしくは先に仕掛けることが絶対条件になると思います。あとは、同門の尾方選手の動きをあてにしないこと。この2人が同じレースを走る時、「真生は行くよね、真生の後ろにいれば私にとって絶好の展開になるよね」っていう動きをしがちなところがあるんですよ。そんなことをしていて、たとえば柳原選手が先に仕掛けて、尾方選手が仕掛けられない状況になると、児玉選手も仕掛けどころを逸しちゃうというパターンも考えられますので。 ——今回、先行にこだわる奥井選手もいますが、奥井選手の逃げ切りはどうでしょう？ 店長：佐藤選手、児玉選手、柳原選手の3人がものすごく牽制しあえば、奥井選手の先行が活きてくると思うんですが、今回は後から仕掛けてくる人たちの捲りがとにかく強烈なので、それを全部不発にするってのは、よっぽど意識しあって誰も仕掛けられなくなった以外はないかと思いますね。 　あと、もし奥井選手の先行ってパターンになると怖いのが石井選手です。あの方は、勝負どころでの位置取りを一番考えて走るし、その技術が最もある人なんですよ。奥井選手が逃げるとなると、石井選手はその後ろか、最悪でも2つ後ろにはいるはずなので、絶好の位置にいる石井選手の逆転も十分あると思います。 ——ちなみに去年のグランプリでは高木真備元選手の優勝を予想されていましたね。 店長：まあ、2着が当てられずに車券は取りこぼしましたけどね(笑)。普段の高木選手のコメントって「自力自在」というのが多いのですが、あの時は「なんでもやっていく」って言ってたんですよ。ということは、勝つためには位置取りからなにからなんでもやる気なんだなと。高木選手がそういうレースをしたら十分優勝争いに絡んでくると思ったので。 　おそらく、普段のガールズのコメントって、言っちゃいけないことが多く設定されているんですよね。「こんな風に走りたい」とか「○○選手の後ろにいたい」とか。ただ、グランプリの場合、それが見え隠れするというか、いろんな記事を読んでいると、なんとなくわかってくるんですよ。「あっ、この人、今回はこんな走りをしようと思ってるんだな」って。だからコメントは本当に大事です。コメントから本人の意識を読み取り、その意識を一番車券に反映させるべきだと思ってます。 　店長氏曰く、長年競輪をやっていると展開をこねくり回す技術に長け、裏側を考え過ぎてしまうが故に当たり車券から遠ざかってしまうことも多いとのこと。その点、初心者のほうが、思い入れなどに左右されることなく素直に車券を買える。特に大穴が出る時はベテランファンよりも的中させやすいので、店長氏は「普段競輪をやらない公営競技ファンも是非挑戦してみて欲しい」と語った。 　たしかに、誰が勝ってもおかしくないレースとなれば大穴が出る可能性も十分に考えられるKEIRINグランプリ。あまり深く考えず自分なりの根拠を軸に車券を買うだけで、思わぬ高配当を手にすることができるかもしれない。 　　＊　　＊　　＊ 競輪予想漫談師「店長」 競輪歴30年、予想漫談師歴8年。以前は飲食店店長だったが、知り合いがやっていた競輪のネット配信にゲスト出演。それが静岡競輪の関係者の目に止まり、その後、静岡競輪場のレース配信で予想漫談師として活動することに。そのトークっぷりは、他の予想配信とは一線を画している。 取材・文／サ行桜井パチンコ雑誌『パチンコ必勝ガイド』『パチンコオリジナル実戦術』の元編集者。四半世紀ほど勤めた会社を退社しフリーランスに。現在は主にパチンコや競輪の記事を執筆している。