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日本でも人気急上昇のNewJeans、「グレーゾーン」な歌詞が呼んだ波紋

実際は「ほぼクロ」のグレーゾーン?

 ただし、そうは言ってもエンターテイメントの世界。額面通りに受け取るわけにもいきません。作品は雄弁です。艶めかしい振り付けやアンニュイでうつろなボーカル、シックで大人っぽい衣装などを総合した暗喩の娯楽として見れば、やはりそこにギリギリのラインを狙った企みがあったのではないかと感じるのですね。    実際、現役の通訳であるキム・テフン氏は自身で作成した動画でこう語っています。 「曲に出てくる歌詞の“cookie”は、女性の性器を意味している。これは真実だ。英語を楽に話せる人にこの曲を聞かせて、扇情的かどうかを尋ねたら、100人なら100人が扇情的だと言うだろう」(韓国情報サイト『Danmee』2022年8月26日)  こうした指摘からも、「Cookie」がほぼクロのグレーゾーンに踏み込むことで話題性を生んだ背景が理解できるのではないでしょうか。

「全員10代のメンバーに歌わせる」倫理的な問題

 さて、問題は本格的に日本で活動した場合です。「Cookie」の日本語訳が表示されたとき、視聴者はどのような反応を示すでしょうか? 裏の意味を知らなかったとしても、<香りから違う?>とか<一口じゃ足りない?>というテロップが出れば、大体はそういうことなのだろうと理解するはずです。  さらに海外での議論でもあったように、NewJeansのメンバーが全員10代であることも問題だと考える人たちも出てくるでしょう。  たとえばケイティ・ペリーの「Birthday」も恋人の誕生日を祝う内容に性行為をほのめかす隠喩を仕込んであります。“でっかい風船を持ってきて!”(<It’s time to bring out the big baloon>)はコンドームのことですし、<birthday suit>は生まれたときに着ていたもの、つまり裸のことですね。  しかし、この曲を歌ったときケイティ・ペリーは20代後半でした。自分の考えていること、やっていることをはっきりと理解できる年齢です。  一方「Cookie」を歌うNewJeansはみんな10代。中には14歳のメンバーもいます。こうした点が倫理的な面から批判される恐れがあります。
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無視できない「楽曲の卓越性」
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