フレーズ3:[意図要約]ご質問の意図としては、○○ということでよろしいでしょうか?
講演とかトレーニング、社内向けプレゼンテーション、社外向け営業など、「説明」が必要になるタイミングはいろいろとあります。本編をしっかりわかりやすく説明しきることはもちろん大事ですし、今までお伝えしたフレーズを意識的に入れ込み、かつそれを使うクセがついてくれば、「説明がわかりやすい人」という強力なポジショニングを取ることができます。
一方、忘れてはならないポイントが1つ。それは、本編の説明が終わった後の「質疑応答」、外資系やスタートアップだと「Q&Aセッション」と呼ばれるヤツです。
本編の説明に関して、もしくはそれに関していないことでも、参加者の方々が「こういう場合はどうするの?」「でも、私の過去の経験では……」みたいに質問なりコメントなりをたくさんしてくださるアレです。
質問者が、今回みなさんにお伝えしているようなフレーズを使い、とってもわかりやすく質問&コメントしてくれればいいのですが、残念ながらそんなラッキーはあまりありません。
「結局何が聞きたいんだ?」「それってあなたの感想ですよね」となるパターンが9割を占めます。
そのようなとき、相手の心証を害さず、かつクールな返答っぽくなるフレーズがこの意図要約「ご質問の意図としては、○○ということでよろしいでしょうか?」です。質問者の発言の背景、および目的を簡潔にまとめ、自分にとっても答えやすい形で編集しなおせる、質疑応答の際には必須と言っても過言ではないフレーズです。
相手目線を強く意識し、聴く力を向上する訓練にもなる!
写真はイメージです(Photo by Adobe Stock)
意図要約をすることで、質問者はあなたに対して「いやー、この人よくわかってるな!」というポジティブな感情を抱くことになりますし、他の参加者の方たちからも「よくわからない質問をわかりやすくまとめ、適切に返答するとは!」という高い評価を得ることができます。
さらに、個人的にめちゃくちゃデカいと思うのは、
このフレーズを常に使い続けることで、「相手目線を強く意識し、聴く力を向上する訓練にもなる」というポイントです。質問の背景や意図を正確に把握し、かつそれをわかりやすい形で編集しなおすには、質問者がどのような立場の人なのか、なぜそのような質問をされているのか、どのような回答を返すべきなのか、それを短い時間で把握する必要があります。
そのため、質問者の発言を全身全霊で集中して聴くようになり、その姿勢、態度は必ずその場にいる全員に伝わり、
「わかりやすいだけでなく真摯な人だな」と思っていただけるようになるのです。もちろん、外面だけではなく、実際の聴く力もどんどん向上していきます。
【NG 損する説明】
(「この本を読めば、すぐに説明力がつきますか?」という質問に対して)いや、1回さらっと読むだけで説明スキルが上がるはずないじゃないですか。
【OK 得する説明】
(「この本を読めば、すぐに説明力がつきますか?」という質問に対して)ご質問の意図としては、「この本を活用して説明スキルを上げる最短ルートを知りたい」ということでよろしいでしょうか?
<TEXT/伊藤 祐(株式会社Zenyum Japan社長)>
外資系デンタルケア企業の日本法人「
Zenyum Japan」の代表取締役社長。「口腔ケア領域で、最高のSmileのための最高のサービスを提供し続ける」という会社のミッションを推進する傍ら、「グローバル企業の日本法人経営者」という新時代のキャリアを普及させるべく、講演や執筆活動に積極的に取り組んでいる。ツイッター(
@TasukuIto5)、
noteなどでも積極的に発信中。著書に『
得する説明 損する説明』(SBクリエイティブ)