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山梨発「シャトレーゼ」は世界の“大衆菓子ブランド”になれるか?タイ担当者の意外な悩み

ひときわ目を引く陳列をされているのは…

シャトレーゼ

苺大福 85バーツ(約330円)

 スペースを大きく使って陳列され、ひときわ目を引くのが、フルーツジュレだ。 「東南アジアでの日本産フルーツの人気は凄まじいですよ。山梨の桃やブドウの果肉がたっぷり入ったジュレは、フルーツ単体だと高くて手が出ないというタイの方から好評で、ギフトセットも含めてよく売れています」
シャトレーゼ

フルーツのジュレ 83バーツ(約320円)

 横尾さんは「杏仁豆腐のアイスは“匂いがダメ” と、タイでは大不評でした。日々、トライ&エラーの連続です」と笑う。

とことん日本の味で勝負する

 タイ進出して6年の軌跡を辿ってみよう。2017年、タイ進出を控え、社内会議ではさまざまな意見が飛び交っていた。 「当初は『甘さを増やそう』とか『ケーキのサイズを小さくしよう』とか、ローカライズについてかなり議論したんです。でも最終的に、“やっぱり日本の味で勝負しよう”と方向性を定めました」  基本的なサプライチェーンは日本も海外も変わらない。日本で生産した商品を瞬間冷凍して輸出し、現地で解凍・加工して販売する。だが海外の店舗で「日本の味」を完璧に再現するには、より高度な品質管理を徹底し、国ごとに異なる輸入規制をクリアせねばならない。 「弊社の冷凍基準はマイナス20度以下で、全工程でこの温度を担保する環境を整えるまではひと苦労でした。タイはアイスの輸入登録の審査が厳しかったりと、製造が軌道に乗るまで結構時間がかかりましたね」
シャトレーゼ

タイの店舗でもアイスが充実。日本で一番人気のアイス「チョコバッキー」は25バーツ(約100円)

 一方、同社の圧倒的な強みは海を越えても遺憾なく発揮されている。 「商品の輸出や輸入、保管、店舗配送まですべてを自社で管理しているため、物流などの外的な影響を受けにくいんです。このスタイルでいくつものハードルを乗り越えてきました」
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海外でも庶民価格を追求
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バンコク在住ライター。岡山出身。キャリアやビジネスに関する取材・インタビュー記事をメインに執筆中。オンラインで日本の著名人取材も行う。世界41か国に訪問歴がある旅好きです。 Twitter:@pippirotta39

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