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山梨発「シャトレーゼ」は世界の“大衆菓子ブランド”になれるか?タイ担当者の意外な悩み

タイで直面した「ブランド名問題」

 シャトレーゼのタイ展開は極めて順調な印象を受けるが、横尾さんは「認知活動の根幹に関わる問題に直面しています」と苦笑する。 「タイでは弊社のブランド名の認知があまり進んでいません。アルファベット圏のシンガポールやマレーシアと違い、タイはタイ文字の国なんです。タイのお客様から『Châteraiséってなんて読むの?』と多くの質問をいただき、問題の深刻さに頭を抱えました」  確かに、筆者のタイ人の友人たちも「最近ね、日本のお菓子屋さんにハマってるの。なんだっけ、Cから始まる店……」と、みんな名前が出てこない。店名を覚えてもらえないと、認知スピードは著しく低下してしまう。
シャトレーゼ

タイの店頭で配布しているチラシやパンフレット

「店頭で配るチラシやパンフレットに、タイ語で“シャトレーゼ”と読み方をふるなど、試行錯誤を重ねています。正直なところ、他アジアの展開国と比べてタイ出店はスローペースで、道半ばです

国境を超えたフラットな関係

 FC業態のシャトレーゼでは、どのように日本と海外で連携を図っているのだろうか? 「海外のFCも日本のやり方とほぼ変わらず、その延長線上という感覚なんです。FC加盟店のオーナー様はのれん分けをしたパートナーで、上下関係や縛りはないですし、ロイヤリティも取りません。週1ペースで打ち合わせしつつ、一緒にブランドを育てています」
シャトレーゼ

シャトレーゼ・セントラルワールド店のタイ人スタッフ

 タイ人の社員は、事業立ち上げ当初から参画しているメンバーがほとんどだ。日本の本部とタイ法人の営業同士、総務同士、経理同士など、部門ごとに1対1で直接仕事をしているという。 「現地スタッフと一貫して関わることで、物理的に離れていても意思統一ができ、些細なことでも相談しあえるフラットな関係性が構築できていると思います。皆が働きやすく、やりがいを感じられる環境を作りたいです」
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タイ人スタッフ発案の商品も
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バンコク在住ライター。岡山出身。キャリアやビジネスに関する取材・インタビュー記事をメインに執筆中。オンラインで日本の著名人取材も行う。世界41か国に訪問歴がある旅好きです。 Twitter:@pippirotta39

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