更新日:2023年03月15日 16:14
エンタメ

安藤サクラ主演『ブラッシュアップライフ』がヒットした5つの理由

理由4 伏線と考察の面白さ

 第7話前半でのこと。時は2003年で、麻美は4周目人生の中学生だった。地元に「ラウンドワン」が出来たので、まりりんは麻美に向かって「今までイオンくらいしかなかったもんね」と声を弾ませた。麻美も「だよね」と応えた。クビを捻った。ジャスコがイオンになったのは2011年で、麻美が高校3年生のときだ。  だが、2人の会話のナゾは同話後半で解ける。まりりんもタイムリーパーで、後の歴史の記憶を共有していたからだ。麻美が人生2周目だった第3話にまりりん(当時は誰なのか不明)が登場していた理由も明かされた。あーちんの交通事故を防ぐためだった。  全編、幼なじみ愛が溢れ、伏線が張りめぐらされている。

理由5 世界的映画並みの出演陣

 麻美を演じている安藤は権威ある「キネマ旬報ベスト・テン主演女優賞」を2012年から6年間に3回も獲っている。ほかの映画賞も山ほど得ており、挙げたらキリがない。疑いようがなく国内トップレベルの女優だ。  この作品での安藤の演技も出色の一語。考えてみると、安藤は1周目人生の地方公務員から5周目のパイロットまで5役に扮しているわけで、その演技力の高さには驚かされる。その上、20歳前から39歳まで演じている。麻美役を演じられるのは安藤くらいではないか。  ほかにも映画界の一線級がそろった。不倫問題でぶち切れたレナちゃんこと森山玲奈を演じている黒木華(32)、トホホなミュージシャン志望者のふくちゃんこと福田俊介に扮している染谷将太(30)、8周目人生をマイペースでエンジョイする河口美奈子役の三浦透子(26)、水川、夏帆、木南ら。こんな豪華布陣、海外映画祭に挑もうとするような映画でないと、考えられない。  映画界では「安藤サクラさんが出るのなら自分も出たい」と言う人がいるという。演技の勉強になるためらしい。この作品も安藤の主演作だから出ている人がいるのだろう。  さて、最終回(第10話)はどうなるのか。第9話に短く登場した浅野忠信(49)が正体不明だが、やはりタイムリーパーなのではないか。キーパーソンだろう。何らかの理由で4人の航空事故死を防ごうとしていると読む。 <文/高堀冬彦>
放送コラムニスト/ジャーナリスト 1964年生まれ。スポーツニッポン新聞の文化部専門委員(放送記者クラブ)、「サンデー毎日」編集次長などを経て2019年に独立。放送批評誌「GALAC」前編集委員
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