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“キングオブコント王者”ライス田所仁が語る、40年住んだ故郷の魅力「カッコつけなくていい」

なぜ蒲田と異世界がテーマに?

――なぜ蒲田と異世界をテーマに描こうと思ったのですか? 田所:まず、打ち合わせをしているときに「『異世界もの』に挑戦してみませんか」と言っていただきました。漫画はもちろん、ドラマの脚本や小説などもそうだと思うんですけど、芸人がそういったものに挑戦する場合、やっぱり経験がないとすごく難しいと思うんですよ。ピースの又吉直樹さんが、芸人をテーマにした『火花』(文藝春秋)を書かれましたが、やっぱりその職業の方だから説得力が変わってくるじゃないですか。  僕は、異世界ものを詳しく知っているわけではなかったので、自分が一番詳しいものとして、40年住んでいる蒲田を掛け合わせようと思いました。ほかの人よりも確実に情報を知っているし、住んでいるだけで毎日情報が入ってくる利点もあるのでいいなって。街ごと異世界へ行く設定は、打ち合わせの中で、「蒲田の街ごと飛ばしちゃいましょう」「それ面白いっすね」と盛り上がって決まった感じですね。

蒲田の人は「面白いイジりだったらOK」

ライス田所――「住んでいる方に不快な気持ちを与えないように」など、蒲田を題材にする際に気をつけていることは? 田所:本当に微妙なところなんですけど、蒲田の人は基本的に笑い飛ばしてくれる器の大きさがあると思っているんですよ。もちろん、そうじゃない人もいると思いますが、基本的なラインとしては「面白いイジりだったらOK」というのはあるかもしれないです。  例えば「お店がマズい」とか「汚い」とか、そういった誰かが“嫌な気持ち”になるのはダメだし、現実的にお店の売り上げが下がるようなことは絶対にしたくないなと思っています。 ――原作を拝見すると、愛のあるイジりをされているのが伝わります。現在、漫画はブックライブで配信中ですが、完成作を見てどんな感想を持ちましたか? 田所:「夢が叶った!」と思いました。作画担当の海野悠さんの絵が素晴らしくて……。そもそも、原作やキャラ設定を文章でしか送っていないのに、イメージしたままのキャラクターが返ってきたときは、ビックリしました。自分の妄想をしっかり形にして戻してくださるので感動しましたね。  自分が考えた物語が動きだして、キャラクターがやりとりしている姿を見たときは、表現があっているのかわからないですけど……神になった気分でした。
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YouTubeでは蒲田の街を歩くロケも
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1984年生まれのライター。お笑い、ドラマ、映画などのコラム・インタビューを担当。Twitter:@mhmhhmhm18
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【配信情報】
漫画『異世界蒲田』(ライブコミックス)はブックライブ にて配信中
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