更新日:2023年04月08日 00:27
お金

鳥貴族の“新業態”が失速。大手チェーンが抱える深刻な課題

そもそもノウハウが不足していた?

 鳥貴族が新設した子会社TORIKI BURGERの社長に就任したのは、髙田哲也氏。髙田氏は日本マクドナルドに入社し、統括マネジャーなどを経験してきたといいます。他にも20年以上ハンバーガーショップに勤務していた従業員1名が役員を務めています。  業界経験者がハンバーガープロジェクトをけん引しましたが、トリキバーガーはノウハウが不足していた印象がぬぐえません。  まず、トリキバーガーには目を引くハンバーガーがありません。モスバーガーのように豊富な野菜が挟み込まれているわけでもなく、国産の素材を使っているという贅沢感も得られません。  ハンバーガーのメニュー開発は、提供する商品の質とスピードの2つの要素が深く関わっています。凝ったメニューを出せばオペレーションが煩雑になり、提供スピードが落ちます。

魅力的なメニューの開発は不可欠

 トリキバーガーはオープン当初、料理の提供までに3分ほどかかっていました。それを半分にまで圧縮する取り組みを進めていました。  ハンバーガーショップのノウハウに欠けていた鳥貴族は、提供スピードを競合に引けを取らない水準に保とうとしたあまり、メニューを充実させることができなかった可能性があります。  また、単品のハンバーガーにポテトSとドリンクをつけて750円ですが、マクドナルドのランチメニューは600円台で、価格競争力が強いわけでもありません。  もし、ハンバーガーショップの運営に今後も力を入れるのであれば、メニュー開発の強化は外せない要素となるでしょう。
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“チキンブーム”が去ってしまった
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フリーライター。大企業から中小企業まで幅広く経営支援を行った経験を活かし、経済や金融に関連する記事を執筆中。得意領域は外食、ホテル、映画・ゲームなどエンターテインメント業界
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