更新日:2023年04月08日 00:27
お金

鳥貴族の“新業態”が失速。大手チェーンが抱える深刻な課題

“チキンブーム”が去ってしまった

“チキンブーム”が下火になっていることも、トリキバーガー不調の背景にあるでしょう。新型コロナウイルス感染拡大の影響により、テイクアウトがしやすい、から揚げやハンバーガーがブームになりました。  居酒屋運営のワタミは「から揚げの天才」という新業態を立ち上げ、フランチャイズを募って店舗を拡大しました。しかし、FC加盟していたアークコアが運営していた11店舗をすべて撤退するなど、かつての勢いを失っています。  焼肉ライクの運営などで知られるダイニングイノベーションが立ち上げたチキンバーガーの「DooWop(ドゥーワップ)」は、主力の渋谷店を早くも閉鎖しました。

付け焼刃で新業態を始める難しさ

 鶏肉は、若鶏であれば生まれてから1か月程度で出荷できます。出荷できるサイクルが早く、牛や豚などと比べてエサがかからないことから、安く仕入れることができます。鶏肉の自給率は64%であり、供給も安定しています。牛肉(自給率35%)のように、エネルギー高や円安の影響を受けて輸入価格が高騰するという事態が起こりづらいという特徴があります。  飲食店の運営事業者にとっては、都合のいい食材なのです。しかし、消費者にとって仕入れの事情は関係なく、美味しいものを食べたいという欲望だけが顕在化しています。しかも、嗜好は多様化しており、ターゲットの「美味しい」に合致するニーズを丁寧に拾い上げなければなりません。  居酒屋大手チェーンが始めたハンバーガーショップやから揚げ店は、付け焼刃で新業態を始める難しさを物語っているように見えます。
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本業の居酒屋は1000を超える巨大グループに
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フリーライター。大企業から中小企業まで幅広く経営支援を行った経験を活かし、経済や金融に関連する記事を執筆中。得意領域は外食、ホテル、映画・ゲームなどエンターテインメント業界
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