大量閉店計画を進めるイトーヨーカドー。業績悪化をめぐる「2つの理由」
株式会社セブン&アイ・ホールディングスは2023年3月、傘下に置くイトーヨーカドーの店舗数を2026年2月末までに現状の126から93店舗に削減する計画を発表しました。閉店が決まっていた19店舗に加え、14店舗の閉店を決定したようです。
最盛期(2016年2月末)には182店舗を抱えていましたが、規模縮小が続き、SC化や魅力的なテナントの誘致を行ったものの、時代の潮流には逆らえなかったようです。今回はイトーヨーカドーの栄光時代と近年における業績悪化の背景について解説します。
イトーヨーカドー(以下:ヨーカドー)は1920年に東京・浅草でオープンした洋品店「羊華堂」に由来します。衣類がメインの店舗でしたが、60年代からは食品を扱うスーパーとして店舗展開を進めました。68年には「イトーヨーカ堂」に改名、馴染みのあるハトのロゴは72年に導入されました。
60年代までは百貨店を除くと零細な商店しかなかった国内で、食料品から衣類、家電まで何でも揃うヨーカドーは総合スーパー(GMS)として規模を拡大しました。GMSは1階が食料品を扱うスーパー、2階以上は衣類・日用品コーナーという店舗構造であり、ヨーカドーの他にはダイエーやジャスコ、西友などがあります。ヨーカドーは全国に展開しましたが、特に首都圏の駅前・市街地を中心に進出し、最盛期には前述の通り182店舗体制となりました。
規模拡大が続く中でヨーカドーは1973年、アメリカでセブン-イレブンを運営するサウスランド・カンパニーとライセンス契約を結び、日本国内でコンビニ事業を展開し始めました。その後のセブン-イレブンの成長は周知の通りです。
コンビニ事業の好調が続く中、セブン-イレブンの時価総額が親会社であるヨーカドーを上回るようになりました。これは他社がヨーカドーを安く買収することで、より規模の大きいセブン-イレブンも買収できてしまう危険な状態といえます。当時はライブドアによるニッポン放送買収など敵対的買収が話題となった時代でもあり、他社による敵対的買収を防ぐため2005年にセブン&アイHDとして持ち株会社に移行し、ヨーカドーは同HDの傘下に入りました。
総合スーパーとして消費者を支えた
セブン&アイHD傘下に入った経緯は?
経済・テクノロジー・不動産分野のライター。企業分析や都市開発の記事を執筆する。取得した資格は簿記、ファイナンシャルプランナー。趣味は経済関係の本や決算書を読むこと。 Twitter:@shin_yamaguchi_
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