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安楽亭が焼肉食べ放題チェーンで“一人負け”のワケ。客単価で「1000円以上の差」が

 

客単価で「1000円以上の差」が

 安楽亭の2022年3月期の客単価は1896円でした。物語コーポレーションは焼肉きんぐの客単価を公表していませんが、FCオーナー向けのセミナーやインタビューなどから、3000円程度であることがわかります。2つの焼肉店では1000円の開きがあるのです。  1店舗当たりの年商が1億2000万円で利益が出ると仮定して、必要な客数を計算してみましょう。この店舗が1ヶ月当たり30日稼働する場合、単価3000円で目標達成に必要な客数は1日当たり111人。平均組人数が3.5人だったとすると、32組が来店すると達成することになります。  これが単価1800円の場合、必要な人数は185人。53組の来店が必要です。ロードサイド型の大型焼肉店は100席程度あるのが普通。焼肉店は回転率が1回と低いことで知られています。単価3000円であれば、1.1回で黒字化は可能です。大型店で1.8回転させるのは難易度が高いと言えるでしょう。  客単価は付加価値の高さで決まります。つまり、顧客に美味しい、または美味しそうと思わせられるかどうかが勝負なのです。

食べ放題メニューを比較してみると…

 付加価値が高いかどうかは、同価格帯のメニューを見ると簡単にわかります。焼肉きんぐの「きんぐコース」(3498円)と、安楽亭の「パワー焼肉コース」(3278円)を比較してみましょう。どちらも食べ放題メニューです。  焼肉きんぐで目を引くのが、名物「きんぐカルビ」と「炙りすき焼きカルビ」です。「きんぐカルビ」は一頭から500g程度しか取れない希少部位。「炙りすき焼きカルビ」は薄切り肉をすき焼きのタレで食べるという、さっぱり風味の人気メニューです。  その他、「壺漬け一本ロース」(東日本限定商品で、西日本は「壺漬けドラゴンハラミ」)など、キラーコンテンツと呼べる目を引くメニューが存在します。
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フリーライター。大企業から中小企業まで幅広く経営支援を行った経験を活かし、経済や金融に関連する記事を執筆中。得意領域は外食、ホテル、映画・ゲームなどエンターテインメント業界
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