最後にこの連載で取り上げた銘柄の現状を見つつ私の投資方針を開示したい。 　100円ショップで業界2位のセリア（東京スタンダード　2782）は、景気が悪い時にも強い会社だ。価格が下がってきた2550円で投資を始めたあと、今は2450円ほどまで下がっており（4月24日現在）、私は2300円台で買い増しの指値注文を入れた。 　三菱地所（8802）は1600円ほどで買ってみたが、現在も同じような水準のまま。追っかけて買うこともしないが、下がることがあれば買い増しする予定。 　1月に指摘したポストコロナでの有望株、JAL（東京プライム　9201）と HIS（9603）はどうだろう。 　記事に取り上げた時は2500円ほどだったJALは一時2800円の年初来高値をつけ、今は2600円前後。HISは2000円前後でおすすめしたが、これも紹介したのちに2230円の高値をつけたあと、今また2000円前後である。 　いずれにせよ、5月になり出入国に関する規制が撤廃され、中国からのインバウンドが増えること、また、やっと下がり始めた燃油サーチャージによって、コロナ前と比較して下がりきったままの日本からの海外旅行客が回復することによって、両社とも業績が本格的に回復するものと予想する。このレベルでは買い増しもせず、株価が上がっていくことをじっくり待ちたいというスタンスだ。 ＜佐藤氏が発注した銘柄一覧（4月24日現在）＞　 三菱UFJ(8306) 100株　指し値：810円 KDDI(9433) 100株　指し値：3820円 コマツ(6301) 100株　指し値：3040円 みずほFG(8411) 100株　指し値：1680円 日本郵政(6178) 100株　指し値：950円 日本郵政(6178) 100株　指し値：1030円 ゆうちょ銀(7182) 100株　指し値：940円 ゆうちょ銀(7182) 100株　指し値：1030円 セリア(2782) 100株　指し値：2320円 信越化(4063) 100株　指し値：3820円 　去年から今年にかけて爆上げしたといえば、金融株と商社株。 　この連載でも2月下旬に、今後の伸びしろを考えるとゆうちょ銀（7182）や日本郵政（6178）の可能性を示唆した。紹介した当初の配当利回りは4％くらいだったものが、今は4.5％近くまでになった。 　3月の半ばに金融株は大きく下げた。昨年末から大きく上げていたことと、先に取り上げた欧米の金融機関の経営破綻によるところが多い。日本の大手都銀などの下げ具合と比較すると、この2銘柄の下げ幅は少なかったと言っていいと思う。私は、下がったところで買い増しし、さらに下がれば買っていくつもりだ。4％を超える配当利回りを享受しつつ、値上がりを数年かけてじっくり待つというスタンスである。 　2月には消費関連としてヤマダHD（9831）も紹介した。あまり動きはない。投資も単位株5万円弱であること、配当利回りは2.5％程度であるが、こちらは下がったら買い増ししていこうというスタンスのままだ。 　ということで、紹介した株式は大きく儲かったものも、下がったものもない状態。個人的にも損切りしたものも、利益確定売りしたものもない状態だ。また、数か月したら評価してみたいと思う。 　今回私がどんな銘柄をいくらくらいで指値を入れているか紹介したいと思う。すぐに買えるとは思ってない水準ばかりだ。 　私は日々株式市場を見ているトレーダータイプの取引をしているわけではないし、日常の仕事や生活、レジャーにもいくので、四六時中マーケットを見ていることはしない。無論、時間がある時に1～2時間ほどパソコンに向かっていろいろと調べ物はすることはするが、これらの指値は、気になる銘柄が下がったら買い増しするというためのもの。発注は単位株、細かく入れる。有効期限はほとんどが4週間だ。相場が安い時に拾っていくだけなので、30％や半値などというところまで株価が落ちることはない。10～20％ほど下がっても余裕資金で行なっているし、配当利回りが悪くないものも多いので、そのまま放っておく。むしろ買い増す。これが基本方針なのだ。ちなみに、これらは4月24日現在のもので、数日ごとに銘柄も指値もどんどん変更していくので、悪しからず。 ＜文／佐藤治彦＞ 経済評論家、ジャーナリスト。1961年、東京都生まれ。慶應義塾大学商学部卒業、東京大学社会情報研究所教育部修了。JPモルガン、チェースマンハッタン銀行ではデリバティブを担当。その後、企業コンサルタント、放送作家などを経て現職。著書に『つみたてよりも個別株！　新NISAこの10銘柄を買いなさい！』、『年収300万~700万円 普通の人が老後まで安心して暮らすためのお金の話』、『しあわせとお金の距離について』、『安心・安全・確実な投資の教科書』など多数　twitter:@SatoHaruhiko