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“中国人爆買い離れ”で苦しむラオックス。「バブル期のシンボル」買収で延命なるか

 日本で「バーニーズニューヨーク」を運営するバーニーズジャパンの全株を、5月1日にラオックスホールディングスが取得しました。セブン&アイ・ホールディングスからバーニーズを買収するニュースが明らかになると、ラオックスの株価は上昇。3月16日は一時242円でしたが、4月14日には305円の高値をつけました。  インバウンド需要の獲得に注力していたラオックスは、新型コロナウイルス感染拡大で失速。バーニーズジャパンの買収は久しぶりの好材料にも見えますが、それは本当にラオックスの成長を促すものなのでしょうか?
ラオックス

画像はイメージです

アメリカ本体はすでに全店撤退…

 バーニーズニューヨークは高級アパレルを扱うセレクトショップで、日本で旗艦店6店舗、アウトレット4店舗、ECショップを運営しています。  バーニーズは1923年にマンハッタンで開業した男性用スーツの販売店が前身。1980年代に伊勢丹と提携して店舗数を拡大しました。1989年に伊勢丹が日本国内で展開するライセンスを取得し、1990年に新宿1号店をオープンしました。  アメリカのバーニーズ本体は、1996年に倒産。その後、アパレル会社が再生に乗り出し、ドバイの投資会社の手に渡りました。しかし、2019年に再度倒産。2020年2月にアメリカのすべての店舗が閉店しています。

「バブル期のシンボル」だったが

 ハイブランドを扱うバーニーズが経営不振に陥った要因の一つが、消費者のライフスタイルの変化。バーニーズはハイブランドの、ややエッジの利いたデザインのものを扱っています。いわゆる尖った商品が多いのです。  若者がブランド品に身を包み、街を闊歩していたバブル期は終焉を迎えました。現在はカジュアル路線が定着しています。ワンポイントとしてお気に入りのブランドを取り入れる人は多く見かけますが、オンラインで購入するのが普通になりました。  確かに、1990年代はドアマンが扉を開けて顧客を出迎えてくれる店は新鮮でした。単なる買い物ではなく、非日常的な気分を味わうエンターテインメントでした。それはバブル期のシンボルであり、落日を迎えたのです。
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買いで一時急成長するも、すぐに失速…
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フリーライター。大企業から中小企業まで幅広く経営支援を行った経験を活かし、経済や金融に関連する記事を執筆中。得意領域は外食、ホテル、映画・ゲームなどエンターテインメント業界
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