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“中国人爆買い離れ”で苦しむラオックス。「バブル期のシンボル」買収で延命なるか

債務超過に陥った「バーニーズジャパン」

 倒産はしていませんが、苦戦をしているのは日本のバーニーズも同じです。2023年2月期の売上高は前期比10.0%減の127億1100万円。5億1500万円の営業損失(前年同期は18億4500万円の営業損失)を出しています。
バーニーズジャパン

バーニーズジャパンの業績推移 ※官報及び「株式会社バーニーズジャパンの株式の取得(子会社化)に関するお知らせ」より筆者作成

 バーニーズジャパンは新型コロナウイルス感染拡大の影響が出る前の2019年2月期から赤字に陥っており、そこから立ち直っていません。減収も続いていました。更に2022年2月期には債務超過に陥っており、2023年2月期も立ち直っていません。  ラオックスが資金注入し、再生に向けて動き出すとしても、集客力を失ったバーニーズを簡単に立て直せるようには見えません。  バーニーズは2023年2月期に営業損失を出していますが、百貨店の多くはすでに回復しています。2023年2月期の大丸松坂屋は80億7600万円の営業利益(前年同期は18億2400万円の営業損失)、パルコは54億6500万円の営業利益(前年同期比13.4%増)を出しています。丸井グループの小売事業はコロナ禍でも黒字を死守していました。バーニーズの回復が遅れているのは明らかです。

爆買いで一時急成長するも、すぐに失速…

 家電量販店を展開していたラオックスは、主力のパソコン販売が振るわずに業績が悪化し、2009年9月に中国の蘇寧電器の資本を受け入れました。中国の実業家・羅怡文氏がトップに立つと、中国人を中心とした海外観光客向けの総合免税店を手掛けるようになりました。  ラオックスは2010年12月期から4期連続の赤字を計上していましたが、2014年12月期に黒字転換しました。2015年はいわゆる爆買いブームが起こり、ラオックスの2015年12月期の売上高は、前期の1.8倍となる926億9300万円に跳ね上がりました。  しかし、中国人観光客の急速なニーズの変化についていくことができず、2016年12月期の売上高は前期比32.3%減の627億6400億円まで縮小します。
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国内の富裕層を取り込むのは難しいかもしれないが…
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フリーライター。大企業から中小企業まで幅広く経営支援を行った経験を活かし、経済や金融に関連する記事を執筆中。得意領域は外食、ホテル、映画・ゲームなどエンターテインメント業界
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